「Japanese Film Festival 2021」
プログラマー
Susan Bui スーザン・ブイ
INTERVIEW
The Japan Foundation, Sydney主催の下、10月29日から12月5日までオーストラリアの主要5都市で開催される「Japanese Film Festival 2021」(本誌発行時点、シドニーで開催中)。昨年はコロナ渦の影響で大部分がオンライン配信となったが、今年は例年通り全28作品の邦画が映画館で上映される。本記事では同フェスティバルのプログラマーを務めたスーザン・ブイさんに、映画祭を企画・運営するに当たり重要視した点や、上映作品の選定に込められた思いなどについて話を伺った。
ーーオンラインでの開催が中心となった昨年と比べ、例年通り映画館での上映が実現した今年のJapanese Film Festival(JFF)はいかがでしたか。
昨年はパンデミックのためオンライン開催となりましたが、オーストラリアにいる、より多くの人たちに映画を通して日本の文化を広めることができたので、結果的に大成功でした。そうは言っても、今年は映画館での上映を再開することができ、例年通りフェスティバルを開催できたことをとてもうれしく思います。もちろん、物理的な上映では、コロナ禍による規制を遵守し、映画館内の社会的距離の要件を遵守する必要がありました。例年よりも座席数が限定されるため、席を確保するために事前のチケット予約推奨などの対応も行いました。
ーーフェスティバルを運営する上で重要視していることや欠かせないことはありますか。
私たちは、オーストラリアにさまざまなジャンルの最高の日本映画を届けることを目的としています。全国的に行うフェスティバルの運営は、大きな仕事であり、イベントを生き生きとしたものにするために多くの時間やエネルギー、コミットメントを必要とします。私は、5人のコア・チームと共に、ボランティア・コーディネーターやボランティアと協力し、各都市でのフェスティバルの管理をサポートしました。フェスティバルの実現を支援してくれた情熱的なボランティアにとても感謝しています。
ーーオーストラリア人に人気のある日本映画のジャンルは何ですか。
全てのオーストラリア人に当てはまるわけではありませんが、JFFに携わる経験に基づいて言えるのは、コメディーとアニメはとても人気のあるジャンルだということです。JFFの観客は、一般的に日本の伝統的で、文化的側面を特徴とする映画に興味を持っています。例えば、今年上映されたドキュメンタリー『相撲道~サムライを継ぐ者たち~』や、『東京リベンジャーズ』など漫画の実写化の作品です。
ーー上映作品を選ぶ際、どのような点に気を配りましたか。
JFF 2021のプログラムのテーマは「限界を超えた夢」です。喪失を克服することや、社会の期待から解放されることなど、今回上映された多くの映画作品に、逆境に直面しても立ち向かうキャラクターが存在しています。オープニング作品として上映された『HOKUSAI』は、日本の伝説的な画家・葛飾北斎の生涯が描かれた伝記であり、彼が生前に芸術家として直面した課題が描かれています。また、今年のJFFは、アクション・スリラーからドラマ、アニメ、ロマンティック・コメディー、ドキュメンタリーまで、多様なジャンルの日本映画を届けました。寺山修司監督作品によるスペシャル・シリーズに加え、JFFオンラインとオーストラリア全土の地方都市をツアーするJFFサテライト・プログラムも実施し、ぎっしりと内容の詰まったプログラムとなりました。これからも、最高の日本映画を紹介していきたいと思っています。来年は国境が開かれ、監督や俳優を招待してプレゼンテーションが行えることを楽しみにしています!
Japanese Film Festival 2021上映作品
10月29日から12月5日まで、キャンベラ、パース、ブリスベン、メルボルン、シドニーの5都市で開催されるJapanese Film Festival 2021では、日本でヒットした話題の作品を始め、コメディー、アクション、アニメ、ドキュメンタリーなど多様なジャンルの作品が上映される。全28作品の中から6作品をご紹介。