オーストラリア不動産の現状
資産としての豪州不動産、チャンスの見分け方
好機は、「まだ比較的伸び率が低い集合住宅」
2021年も早いもので最終月。今年は年初からCOVID-19の悪影響がどんどん薄れ、経済復活・社会生活も正常化すると思われましたが、前半にはシドニーとメルボルンなどで行動規制によって生活自体に支障が出て、不動産も予測しにくい状況となりました。
そんな不安定な状況でも戸建住宅の高騰は止まらず、シドニーで24%増、メルボルンで16.2%、ブリスベンで13%、キャンベラでは実に29.2%も上昇するなど、歴史的に上昇の記録を塗り替えました。
ただし、物件の値上がりは、オークションなどで競り上がりが多かった戸建住宅や土地が主で、集合住宅においてはそれほど上がっていません。右表の年間比較を見ても、まだ値上がりが少ない地域や、中値で考えるとまだまだ手が届きやすい物件がある都市もあるのです。
物件形態・都市・時期を選んで賢い選択
今後も集合住宅の価格は低いままなのではという疑問も湧きますが、実際には土地の価格が上がることで今後の大型プロジェクトの価格が変わります。また、国際的な建設部材の上昇によるコスト増の見込みがあることや、各航空国際線の復旧による人口増加や経済発展を考えても、今後の市場の活況は免れないでしょう。
投資としての不動産購入を考えるなら、右肩上がりの戸建住宅よりも時差があり、遅れて価格上昇するであろう集合住宅を、そしてまだ上昇率が低い場所を早めに手に入れれば将来の値上がりが見込めます。もちろん、近代的な生活に慣れていて、自宅用にアパートの購入を希望している人にも値上がり前の良い時期です。
都市としては、新交通機関や新名所クイーンズ・ワーフが今後完成し、2032年にオリンピックが開催されるブリスベンが要注目です。
長期的な目線で考えて、市場の右肩上がり前の不労資産の確保としても有効な豪州の不動産市場。来年も目が離せませんね。
●表:主要都市の集合住宅価格中央値比較
都市 | 2021年6月 | 2020年6月 | 前年比 |
---|---|---|---|
シドニー | A$786,175 | A$731,789 | 7.40% |
メルボルン | A$572,793 | A$544,290 | 5.20% |
ブリスベン | A$394,287 | A$386,136 | 2.10% |
キャンベラ | A$504,217 | A$481,599 | 4.70% |
パース | A$370,571 | A$325,778 | 13.70% |
全国 | A$601,482 | A$563,907 | 6.70% |
このコラムの著者
鶴美枝
グローバル・インテリジェンス・マネージメント代表。創業2010年以来、豪州各地の優良不動産を厳選し、豪州及び日本在住のホーム・オーナー若しくは投資家の方々の購入をサポートし資産増幅、理想の住まいの確保に日々尽力中。日本と豪州にて法学部大学院卒業。豪州不動産フルライセンス保持。