QLDで安全・快適ライフ 第74回
子どもを性犯罪から保護する
性的虐待のリスクからより高度に子どもを保護するために、クイーンズランド州では以下の通り、2021年7月5日から法律がより強化されました。
- 全ての成人は、合理的な理由がない限り、子どもに対する性犯罪を警察に通報しなければならない。
- 何らかの組織・機関(例:学校、教会、スポーツ・クラブなど)の状況において、成人は、子どもに対しての性犯罪が行われるリスクから子どもを守らなければならない。
子どもとは16歳未満の者、または18歳未満で心に障害がある者を指します。子どもに対する性犯罪は以下の通りです。
- 子どもをわいせつに扱ったり、子どもとわいせつに接すること
- 子どもとの性交
- 強姦
- 近親相姦
- 子どもへのグルーミング
- 子どもを搾取するような記録物などの作成
- 子どもとの性的関係の維持
- 子どもの性的な写真の撮影
子どもを性犯罪から保護する義務の不履行
同法律の下では、組織・機関で権限や責任を有する者が、組織・機関と関係のある成人による、子どもに対する性犯罪の既知のリスクを、軽減または除去することを義務付けています。
同法律の適用事例
- 組織・機関と関係のある自分以外の成人が子どもに対して性犯罪を犯す重大なリスクがあることを把握している場合
- そのリスクを軽減・除去する権限または責任を有している場合
- 故意または過失でそのリスクの軽減・除去を怠った場合
子どもに対する性犯罪の通報義務の不履行
新しい法律の下では、成人なら誰でも、自分以外の成人による子どもに対する性犯罪を警察に通報しないことは犯罪になります。
子どもが性的虐待の被害を受けている、もしくは受けていたと成人が合理的に確信を持っている場合、当該の成人は通報しない合理的な理由がない限り、それについて警察に通報しないといけません。
合理的な理由の例は以下のような場合です。
- 子どもが自分は性的虐待を受けていたと証言している場合
- 子どもが性的虐待を受けた兆候を見せている場合
通報の際は、Triple0(000)に電話するか、最寄りの警察署にお越しください。
このコラムの著者
平野尚道
QLD州警察ゴールドコースト(GC)地区・日本担当リエゾン・オフィサー。GC日本人会会長を8年務める。移民サポート非営利団体MCCGCで異文化育成担当を9年務めた後、現職。2009年に在ブリスベン日本国総領事館より在外公館長表彰、14年にGC市オーストラリア・デー文化功労賞を受賞