トミヲが掘る!宝石大陸オーストラリア
Yandina, Sunshine Coast QLD – Rhyolite
サンシャイン・コーストの流紋岩
今回はサンシャイン・コーストのヤンディナ(Yandina)にあるワッパ滝で流紋岩(Rhyolite)を掘る。火山から流出したマグマが地表で急激に冷やされて固まると流紋岩になり、それが地中で時間を掛けて固まると花崗岩になる。成分は主に石英で、その名の通り肌色や茶色、白色などの縞模様が特徴だ。場所によっては緑色の物もある。更にガラス質に形成された流紋岩は黒曜石と呼ばれ、太古の時代には鏃(やじり)などに加工されて狩猟に用いられ、人類の歴史にとても深く関わってきた。今回のヤンディナ付近は主に肌色と茶色の縞模様でガラス質ではない流紋石を産出する。
ヤンディナの南西にあるお目当てのワッパ滝は、ローカルの人びとの休日のピクニック・ポイントだ。ブルース・ハイウェイからナンボー・コネクション・ロードを経由し、ワッパ・フォールズ・ロードから簡単にアクセスできる。滝へ向かう前に脇の山道に駐車し、さっそく剥き出しの山肌の岩を観察する。目を凝らすと肌色と赤茶色の縞模様が入った流紋岩の塊が見える。この山道に転がる石も全て流紋岩だ。幾つかくっきりと模様が見える物をポケットに入れた。
本命の滝は、最近雨量が少なかったせいか、川は大量の水草で覆われ、落ちる滝に勢いがない。川辺は干上がって、大量の石がゴロゴロと転がる。これは期待大と思いきや、なかなかお目当ての流紋岩は見つからない。川辺を行ったり来たりすること1時間、ようやく端から白濁した緑色がうっすら見える掌大の石を発見。これは何だ?これも流紋岩なのか? 川の水で洗っても判然としない。「何か分からない石、怪しい石は持ち帰る」のが石探しの基本だ。
後日、流紋岩を切断してみた。山道で見つけた石は、とても軟らかくバターを切るかのようにあっさりと切れた。中からは肌色と赤茶のとても優しい色合いの縞模様が現れた。次は滝で見つけた謎の石。切開すると、灰色と白色がベースで鮮やかな緑色を含んでいてこれも流紋岩だと判明した。その軟らかさに研磨で形を整えるのに難儀したが、奇麗に磨き上げることができた。外見からはこんなに美しくなるとは思っていなかったので、磨き上がった石を見てつい顔がニヤける。
この広大な豪州、どこにすてきな石が潜んでいるか分からない。しかも今回のように外見からは想像できない予想外の驚きと感動を味わえるのが、石探しと加工の醍醐味と言える。これだから石探しは止められないのだ。
このコラムの著者
文・写真 田口富雄
在豪24年。本職の不動産仲介業の傍ら暇を見つけては愛用のGoProを片手に豪州各地を掘り歩く、石と旅をこよなく愛するトレジャー・ハンター。その活動の様子は、公式YouTubeチャンネル(Web: youtube.com/user/gdaytomio)で楽しめる。現ゴールドコースト宝石細工クラブ理事長