福島先生の人生日々勉強
不器用さに悩む人へ
学校や職場で、何か新しいことに着手した時、初めからすんなりこなせてしまう人がいます。初対面でもスムーズにコミュニケーションが取れるという人もいます。一方で、自分のことを不器用だと思っている人も大勢います。手先が不器用、会話が不器用、動きが不器用と、人によってさまざまですが、生き方が不器用となると辛いものがあります。
生き方が不器用だという人の中には、一定の思考に捉われがちで、口数が少なく、感情が表に出せなかったり、余計なことを考え過ぎて肝心なことを忘れてしまったり、素早く対応できずに周りを苛立たせてしまったり、他にも、ミスが多い、パニックに陥る、気が散るなどの問題が起き、悩んでいる人がたくさんいます。肝心なことは、不器用さを何とかして直すということではなく、「不器用な自分はダメ人間だ」と自己否定しないようにすることです。もちろん、不器用さを直そうと努力するのも悪いことではありませんが、まずは「不器用な自分をありのまま受け入れる」ということが何よりも大事です。ありのままの自分を肯定することが、自分らしい生き方の追求につながるからです。
今の時代、SNSなど、他人のネガティブな発言に心を捉えられ、自信が揺らぐこともあります。こうしたネガティブな情報は思い切って遮断しましょう。ただでさえ不器用さに負い目を感じ、生き辛さを感じてきたのですから、必要な情報を得るにとどめ、心を守ってください。
そして、これは非常に大事なことなのですが、胸の内をさらけ出せる人を1人でいいので確保してください。不器用な人はなかなか自分の本音を伝えることができません。それが自分だからと諦めないで、誰か1人、探してみてください。家族でも友人でも構いません。1人いれば、たった1人のその人を大切にすることができます。そして、その人と思いを伝え合うという経験を1つ1つ積み上げていきましょう。
不器用だと幸せになれないと考えがちですが、不器用で良かったと後から思うことの方が多いというのが本当のところです。不器用ながらコツコツと頑張った苦労の日々から得られるものは莫大で、コツコツと積み上げたものから生み出されたものには驚くべき真価があります。加えて、器用さは賞賛されますが、愛されるのはむしろ不器用さだと思いませんか?
もし不器用であるなら、あなたは抜きん出てタフであり、成し遂げる信念を持っているということ。不器用さは特権であり特技です。自分を信じ、胸を張って堂々と生きていきましょう。
このコラムの著者
教育専門家 福島 摂子
教育相談及び、海外帰国子女指導を主に手掛ける。1992年に来豪。社会に奉仕する創造的な人間を育てることを使命とした私塾『福島塾』を開き、シドニーを中心に指導を行う。2005年より拠点を日本へ移し、広く国内外の教育指導を行い、オーストラリア在住者への情報提供やカウンセリング指導も継続中。