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コーネリア・パーカー(Cornelia Parker)の「War Room」

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ルーシーのアート通信

オーストラリアのアート業界で活躍中のコラムニスト・ルーシーが
オーストラリアを中心に活躍するアーティストと彼らの作品をご紹介。

第15回 コーネリア・パーカー
(Cornelia Parker)

「War Room」

Cornelia Parker ‘War Room’ Installation View, Photo Credit image courtesy the artist and Frith Street Gallery, London© the artist
Cornelia Parker ‘War Room’ Installation View, Photo Credit image courtesy the artist and Frith Street Gallery, London© the artist

1956年イギリスで生まれ、ロンドンを拠点に活動するコーネリア・パーカーは、世界を舞台に活躍し、数多くの功績を残すアーティストの1人だ。日常のオブジェクトを破壊し、再構築するなどといった方法で、予想外の忘れられない姿の作品を生み出すことを得意とし、多くの人を驚かせてきた。1997年にはイギリスで50歳以下(当時)の美術家に贈られるターナー賞にノミネートされ、2010年には名誉大英勲章(OBE)を授けられている。パーカーの手掛ける作品には、彫刻やインスタレーション、絵画、写真、映画など、表現手段は複数あるが、形あるものが変容するその瞬間を表現しているものが多い。まるで時間が停止してしまったかのような作品群は非常に印象的だ。

今回紹介するパーカーのインスタレーション作品の1つである、『War Room(2015)』はその名の通り、戦争をテーマにした作品で、上述の作品群とはまた違った毛色のものとなっている。作品に使われている赤い紙は、ロンドンのリッチモンドにあるポピーの造花を作る工場で出た廃棄物で、ポピーの型をくり抜いた後の残骸だ。

イギリスでは第一次大戦の終戦日である11月11日を、戦没者を追悼する「リメンバランス・デー(ポピー・デー)」としている。人びとはその日に向けて、第一次世界大戦の記憶を風化させないという思いの象徴として赤いポピーの造花を身に付ける。作品に使われている紙の数は3万以上に及び、空けられた穴は戦争で失われた多くの人びとの命の象徴のようにも見受けられる。

最近の彼女は、政治を重要なテーマとしており、2017年には、イギリス総選挙で女性として初の選挙アーティストに任命された。6月8日の投票日に向けた選挙運動をじっくりと観察し、政治家、運動家、投票者など多くの人びとと出会い、そこで感じたことを作品に落とし込んだ。

現在、シドニー現代美術館(Museum of Contemporary Art)で開催されている「Cornelia Parker展」では、総選挙時に夜のウエストミンスター寺院をドローンで撮影した作品『Left Right&Centre(2017)』や、元首相の彫刻『Thatcher’s Finger (2018)』、彼女が選挙活動中にインスタグラムでポストした写真を集めた『Election Abstract(2018)』なども展示されている。キュレーターを務めたのは、同美術館のチーフ・キュレーター、レイチェル・ケント。1980年代後半から現在に至るまでの彼女の作品40点以上が集められている。この機会に、世界中で多くの人を魅了する彼女の作品を観に足を運んでみてはいかがだろうか。「Cornelia Parker展」は2月16日まで開催。

Web: mca.com.au
Instagram: @corneliaparkerartist


ルーシー・マイルス(Lucy Miles)
オーストラリアと日本のアート業界で25年以上の経歴を持つ。クイーンズランド・カレッジ・オブ・アート並びにグリフィス大学でファイン・アートの美術学士、クイーンズランド大学では美術史の優等学位を取得。現在、QLD州のサウスポートを拠点にファイン・アート・コンサルタントとして活躍中。
■Web: www.lmcuratorial.com / ■email: lmcuratorial@gmail.com
■Instagram: @lmcuratorial

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