午後3時の甘い誘惑
誘惑には勝てない編集部員が、今月の「甘くておいしい世界」をご紹介!
青い海を眺めながらの絶品ワッフル
第29回 Celsius Coffee Co.
シドニー北郊・キリビリのフェリー乗り場すぐ横に位置し、行列が絶えないカフェとして有名なのが「Celsius Coffee Co.」だ。ウッド調のラスティックなインテリアの店内に足を踏み入れると、ガラス窓の向こうに青い海が一面に広がり、まるで海を漂う船内にいるような感覚だ。今でこそ、海の上というロケーションがこのカフェのアイデンティティーとなり、シドニーきっての人気店となった。しかし、周辺に閑静な住宅街があるだけの同地での開業は不安だったと話すのは、オーナーのスティーブン・チャーン氏。「ここには元々、別のコーヒー・ショップがあったんです。そこが廃業し、空き店舗になっていました。多くの人が訪れるショップや施設が近くにあるわけでもなく、買い取り手がつかない状態でした」と、この地を選んだことは意外にも賭けであったことを明かす。
それでも物件との巡り合わせに運命を感じ、同地で開業。オープンから1年近くは客足が伸び悩んでいたが、5つ星ホテルのレストラン「Atelier by Sofitel」などでシェフを務めるジョーダン・ハジェック氏をヘッド・シェフに迎え入れたことが、大きな転機になったそう。フレッシュなひと皿の提供を目的に、季節の食材を取り入れることを心掛けてメニューを考案。そうして編み出され、お店の看板スイーツとなったのが「セルシウス・ワッフル」だ。どこか懐かしい味わいのワッフルに、手作りの濃厚なピーナッツ・バター・クリーム、ベリー、トーストされたナッツのスライス、そして食用の花びらが美しく散りばめられている一品だ。ワッフルにアイスという定番の盛り合わせでは、アイスがすぐに溶けてしまうのが難点。しかし、ピーナッツ・バターは温かいワッフルの上で滑らかなテクスチャーに変化していくものの、溶け切ってしまうことはないので、最後までゆっくりと味わえるのがうれしい。イチゴやブルーベリーの酸味がワッフルの甘みに対して良いアクセントになっている。
店名にもある通り、コーヒーにも力を入れている。コーヒー豆は、数々の賞を受賞してきた「ONA Coffee」のハウス・ブレンドを使用。腕の良いバリスタが淹れるラテは、そのスムースなミルク・フォームの状態を見れば、質の高さが分かる。その他にも24時間かけて水で抽出したコールド・ブリュー・コーヒーは、エスプレッソとは違い、どこかティーのようなまろやかな口当たりとなっている。
平日週末を問わず混み合っている同店。混雑を避けるには、平日の早い時間帯の来店がお勧めだ。(リポート:石神恵美子)
DATA
●住所:Commuter Wharf, Holbrook Ave., Kirribilli NSW ●営業時間:月~ 金7:30AM~2:30PM(キッチン・クローズ2PM)、土・日8AM~3PM(キッチン・クローズ2:30PM)●Tel: (02)9922-2245 ●Web: celsiuscoffeeco.com.au