編集部セレクト 絶品レストラン・コレクション
日豪プレスのスタッフがプライベートで訪れ、舌鼓を打ったレストランを実際に食したメニューと共にご紹介。
セント・ピーター
Saint Peter
鬼才、ジョシュ・ニランド・シェフが手掛けるシーフード専門レストラン
2016年のオープン以来、ワールド・レストラン・アワードや、グッド・フード・ガイド2ハットを始め、数多くのアワードを授賞し、瞬く間にシドニーのトップ・レストランの一員に名を連ねたセント・ピーター。「エシカル、サステナブル」をキーワードに、魚の全ての部位を無駄なく使った独創的なメニューを提供するシーフード専門レストランとして、オーストラリアのみならず世界からも注目を集める名店だ。
オーナー・シェフのジョシュ・ニランド氏は、同店オープン以来、自身もシェフ・オブ・ザ・イヤーを授賞するなど、若手シェフとして頭角を現し、2019年9月には『The Whole Fish Cook Book』という書籍を発刊。以来、魚の全ての部位を使うメニューのデモンストレーションやワークショップを世界中のレストランで行うなど、今や魚食文化を推進する立役者として活躍を続けている。
「オーストラリアの魚を使って他のどのシェフもやってこなかったことにチャレンジしたかった」
そう話すニランド氏が生み出すメニューは、ジョン・ドーリー(マトウダイ)の肝をフォアグラ風に加工したメニューなど、非常に独創的なアイディアに満ち溢れている。魚のあらゆる部位を使うことを目指し、現在では魚の95パーセント以上の部位を使って数々のメニューを考案しているという。「デザートも魚介から作ることができますし、多くの客がその味を認めてくださっています」とニランド氏は自信をのぞかせる。
同店では、その日の朝に水揚げされた魚介の中からニランド氏がベストと判断したものを選び、料理を考案するため、メニューは毎日変わる可能性があるという。そのため、ウェブサイトなどに掲載されているメニューは「あくまで参考」としている。
更にニランド氏は最高のクオリティーのシーフードを提供するために、レストランの至近に、専用にカスタマイズされた熟成機などを備えた魚専門の小売店「フィッシュ・ブッチャリー」を18年にオープンさせた。
「お金を使うだけの付加価値があるものでなければ消費者の食指は伸びません。魚がどのようにサーブされるべきか、私は深く考えた上で、それをその日のベストの魚として店頭に並べています」
消費者に最高のシーフードを提供すると共に、魚をベストな状態で保存し、加工できる施設を自ら保有することで、ニランド氏は更に示唆に富んだバラエティー溢れるメニューを考案できるようになった。
今回、試した3品もアイデアに満ち溢れていた。前述のジョン・ドーリーのフォアグラには、香り高いリースリングのジュレが添えられ、白身魚ハタを使ったムニエルには透けて見えるほど薄くスライスされたフライド・ポテト、そしてホタテにはカジキマグロを使ったサラミが添えられるなど、素材のおいしさを最高に引き出すマリアージュを実現。鬼才、ジョシュ・ニランド氏の手掛けるメニューの数々をぜひご堪能あれ。(文:馬場一哉、写真:伊地知直緒人)
Photos: ©Naoto Ijichi
Saint Peter
住所:362 Oxford St., Paddington, NSW
Tel: (02) 8937-2530
営業時間:ランチ土・日11AM~2PM、ディナー火~ 日5:30PM~Late