編集部セレクト 絶品レストラン・コレクション
日豪プレスのスタッフがプライベートで訪れ、舌鼓を打ったレストランを実際に食したメニューと共にご紹介。
クロ バー&ダイニング
KURO BAR & DINING
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新進気鋭の若手日本人シェフが生み出す独創的な料理の数々
パリの名店「パージュ」、東京・青山の人気店「フロリレージュ」など、世界を舞台に活躍してきたフレンチ・シェフ、寺本考宏(TAKA)さんが2019年11月にオープンし、ライフスタイル紙「ブロードシート」などでも大きく取り上げられたことから一躍人気店に名乗りを挙げた「KURO」。

レストランが入居するヘリテージ・ビルディングのコンセプト・カラーが黒だったことが店名の由来だが、そこには「この場所に集まる人・料理が光となって、混沌とした世界に光を当てられるような店にしたい」という思いも込められているという。
「KURO」には、2つのレストラン部門があり、1つはTAKAさん自身によるカウンター10席限定のお任せコースを提供する「TERAMOTO BY KURO」、そしてもう1つが、かつて、サリー・ヒルズで人気を誇ったジャパニーズ・インスパイアのバー・レストラン「Bar H Dining」でヘッド・シェフを務めた丸山伸朗(NOBU)さんが統括する「KURO Bar & Dining」。料理のテーマは「日本人料理」。「フレンチ、イタリアン、ジャパニーズなどといったジャンルにとらわれず、日本の風土や文化の中で生まれ育ち、培った経験や感性を生かした料理の提供を目指しています。どんなスタイルの料理であっても、どこかに日本を感じる料理にしたい」とTAKAさんは話す。
内装は日本の伝統文化である「金継ぎ」を意識したという。
「ヘリテージということもあり、過去の遺産を未来につなげるという思いが店のベースにあります。お皿が壊れてしまった時には、自分たちで金継ぎするなどし、経年変化のように成長と共に、金継ぎが増えていくようなお店にしたいです」
お任せコースはオペレーションの関係でサービス開始まで日があるため、今回はNOBUさんが統括する「KURO Bar& Dining」のメニューを食べさせて頂いた。
モノを循環させていくことを目指し、NOBUさんが作る料理もサステナビリティをテーマに、食材を無駄なく使うことをコンセプトに掲げている。「King Prawn / Arare Rice /Prawn Mayo」では、エビの頭の部分も含めて調理に工夫を加えることで、全身を無駄なくおいしく食べられる。
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

コンセプト・カラーである黒を基調としたシグネチャー「Kuro Fried Chicke / Ume / Bonito」(KFC)は見た目のインパクトもさることながら、その繊細な味わいに舌鼓を打たされる。種まで調理に活用した梅のピューレとの相性もすばらしい。
メインの「Aged Duck / Confit Leg Stick / Celeriac Blood Plu, Jus」($39)は鴨を1週間~10日ほど熟成させたこだわりの一品だ。「NOBUさんも、私も元々はクラシック・フレンチの出身なので、ソースなどの仕込みにも数日かけるなどとことんこだわります。そのクラシック・フレンチのマインドは2人で守っていきたいと思います」
他では味わえない日本人料理、ぜひ一度味わってみてはいかがだろう。(文:馬場一哉、写真:伊地知直緒人)
Photos: ©Naoto Ijichi
KURO BAR & DINING
住所:368 Kent St., Sydney, NSW
Tel: (02)9262-1350
営業時間:ランチ月~金12PM~2:30PM、ディナー月~木6PM~9:30PM、土5:30~10PM