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オーストラリアのチャイルド・シート着用義務について(1)– 身近な法律問題

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法律は何となく難しいもの――そう思ってはいませんか?しかし法律は私たちの日常生活と切っても切り離せないもの。このコラムでは毎月、身の回りで起こるさまざまな出来事を取り上げ、弁護士が分かりやすく解説を行います。

第55回:オーストラリアのチャイルド・シート着用義務について(1)

車に乗る時にシートベルトを着用する義務があることは、今では常識とも言えますが、実は7歳未満の子どもを車に乗せる時にはチャイルド・シートの使用が義務付けられていることはご存知でしょうか? チャイルド・シートの着用義務に違反した場合、クイーンズランド(QLD)州では400ドルの罰金及び3ポイントの減点、ニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州では344ドルの罰金及び3ポイントの減点となります。この法律は運転者が対象となっており、もし子どもがチャイルド・シートを着用していなければ、罰金や減点の罰則は運転者に対して科せられます。

例えば、以下のような場合でもチャイルド・シートの着用を義務付けられるのは、あくまでも運転者です。

  • 友人や家族の子ども(7歳未満)を自分の車に乗せた場合
  • 自分の子ども(7歳未満)を友人や家族の車に乗せた場合

タクシー、バスに乗る場合

NSW州以外では、適切なチャイルド・シートがない場合に限り、タクシー乗車時におけるチャイルド・シートの使用義務はありません。ただし、子どもが1才未満の場合は後部座席で大人の膝の上に(シートベルトは共有せずに)座らせる必要があります。1歳以上7歳未満の子どもについては、やむを得ない理由がある場合を除き、後部座席に座らせた上でシートベルトを着用する必要があります。NSW州ではタクシーであっても2歳未満の子どもを乗せる際には適切なチャイルド・シートに乗せなければなりませんので、ご自身で持ち込む必要があります。タクシー会社の中にはチャイルド・シートの準備をしていることがありますので、可能であれば前もって確認し、予約しましょう。子どもを公共バスに乗せる場合、ほとんどの公共バスにはシートベルトが付いておらず、法律上はチャイルド・シートの使用義務はありません。

ライド・シェア・サービスを利用する場合

Uberなどのライド・シェア・サービスを利用する場合にはタクシーとは異なるルールが適用され、西オーストラリア州とQLD州以外では、子どもを乗せる際にはチャイルド・シードを利用する必要があるので、ご自身で持ち込みましょう。

生活の中でチャイルド・シートの使用が難しい場面に直面する場合もありますが、やむを得ない場合を除き、子どもの安全を最優先にしてチャイルド・シートの着用義務は必ず守るようにしましょう。


弁護士:神林佳吾
(神林佳吾法律事務所代表)

1980年東京生まれ。95年渡豪、2004年クイーンズランド大学経営学部・法学部、同大学大学院司法修習課程修了後、弁護士登録。以後15年にわたり離婚・遺言・相続・会社法・訴訟を中心に対応

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