午後3時の甘い誘惑 第30回

Madame and Yves

シンプルで美しい、素材の味にこだわった
宝石のようなケーキたち

シドニー東郊クローベリーに位置し、『TheGoodFoodGuide』や『TimeOut』など、多くのメディアに取り上げられる人気カフェ「MadameandYves」。外観はモダンながら、伝統的なフランスのパティスリー文化を取り入れているのが特徴で、クロワッサンやバケットなどのベーカリーからケーキ、ジェラートまで幅広いメニューを扱っている。

屋外にもテーブルが置かれており、海を眺めながらケーキやコーヒーを楽しめる。カフェからクロベリー・ビーチへは徒歩10分ほどなので、散歩のお供にジェラートなどを購入する人の姿も少なくない。当カフェを立ち上げたオーナー兼パティシェのイヴ・シェラー氏は、ワールド・ペストリー・カップ2019のオーストラリア・チーム・コーチであり、オーストラリアで最高のパティシェの1人として名を知られる。イヴ氏は20年間パティシェとして世界中で腕を振るい、その後オーストラリアへと移住、10年目を迎えた際にカフェをオープンしたそうだ。

1.ピナコラータ・タルト(ビーガンでも楽しめるケーキ$9)2.チョコレート・ヘーゼルナッツ・ケーキ($8.5)3.レモン・メレンゲ・タルト($9)4.レモン・タルト($7)5.クリオッチェ($16)6.バニラ・アンド・ヘーゼルナッツ・ミルフィーユ($8)7.チョコレート・エクレア($7)
1.ピナコラータ・タルト(ビーガンでも楽しめるケーキ$9) 2.チョコレート・ヘーゼルナッツ・ケーキ($8.5) 3.レモン・メレンゲ・タルト($9) 4.レモン・タルト($7)5.クリオッチェ($16) 6.バニラ・アンド・ヘーゼルナッツ・ミルフィーユ($8) 7.チョコレート・エクレア($7)
(左部写真、上から)白を基調としたシンプルで清潔な店内。バリスタが作る、ピカピカのミルク・フォームがコーヒーのおいしさを物語っている(中)宝石のようなケーキたちがショー・ケースに並べられている(下)取材に応じてくれた、オーナー兼パティシェのイヴ・シェラー氏

「全てのメニューは、シンプルで素材の味を生かすことを1番に考えて制作しています」とイヴ氏は語る。新鮮なオーガニック素材にこだわり、人口着色料や添加物は一切不使用。全てのメニューはカフェ内の厨房で一から作られている。イヴ氏は日本の食材にも造詣が深く、「ゆず」や「抹茶」を使用した繊細な甘さのケーキなども楽しむことができる。

季節限定メニューも随時開発しており、特にカフェを代表的するケーキである「Eclairzilla」は隔週で金曜日から日曜日限定のフレーバーを販売している。限定フレーバーの詳細はカフェのインスタグラムで告知され、事前予約も可能なのでこまめに確認することをお薦めしたい。

筆者1番のお薦めケーキは、バニラ・アンド・ヘーゼルナッツ・ミルフィーユ。サクサクのパイ生地に滑らかなバニラ・クリームが挟まれており、中にはとろりとしたヘーゼルナッツ・ソースが入っている。甘さ加減が絶妙で、クリームやヘーゼルナッツの素材本来のうま味が調和している逸品である。

昨年12月にオープンし、猛威を振るった山火事やCOVID-19のパンデミックなど多くの困難を乗り越え、地元の人びとに愛されるカフェになった同カフェ。味はもちろん、イヴ氏の人柄はじめ、カフェ内に流れる穏やかで気さくな空気も人気の理由であろう。

(リポート:大山芙佳、撮影:馬場一哉)