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新しいC型肝炎の治療法はどこで受けられますか

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医療

Q

最近受けた健康診断で肝機能の異常を指摘されるまで、C型肝炎に感染していたことを認識していませんでした。新しい治療薬があると聞きましたが、どこへ行けば治療を受けることができるのでしょうか。(60歳男性=会社員)

A

C型肝炎は主に注射(麻薬中毒者)、入れ墨など消毒が不十分な器具を使った場合の輸血による感染がほとんどです(現在は、献血された血液は全てスクリーニングされます)。性行為による感染、母子感染、それに家族内での感染もまれですが、起こるかもしれません。
 感染者の25%は肝炎の症状が起き、そのほとんどが慢性化します。慢性キャリアの約20%に肝硬変(かんこうへん)が起きるようです。
 C型肝炎の治療は年々進化しています。以前はインターフェロンが基本治療でしたが、副作用も多く、成功率もそれほど高くありませんでした。C型肝炎には遺伝子型が幾つかあり、最近まではそのタイプによって、治療薬を選択しなければなりませんでしたが、現在では遺伝子型で治療薬を選択する必要がなくなっています。完治率が95%で副作用も少ない、4つの薬が存在しています。
 治療は一般開業医(GP)でもできます。病気が進んでいて、肝硬変なども起きている場合は消化器内科の専門医、または公立病院の肝臓クリニックで治療を受けなければなりません。

検査項目

 C型肝炎の検査項目については、以下の内容が挙げられます。

  • 血液検査でC型肝炎抗体があると分かった場合、C型肝炎ポリメラーゼ連鎖反応検査(HCV RNA)をします。C型肝炎ウイルスのリボ核酸(RNA)を検出する検査で、陽性なら体内にまだウイルスが存在するということです。ウイルスが処理されていれば、陰性です。次に、ウイルス負荷の検査をします。これは、体内にあるウイルスの量を見る検査です。
  • 肝硬変のチェックに当たります。血液検査で血中のAST(日本ではGOT)のレベルと血小板数からAPRIスコアという数値を計算します。肝臓の超音波検査、あるいは「Fibroscan」という検査で肝硬変のチェックもできます。

治療

 C型肝炎の抗原がある(C型肝炎ポリメラーゼ連鎖反応検査)ことが確認され、肝硬変などの合併症が起きていないことが確認されれば、GPでもC型肝炎の治療薬を処方できます。しかし、肝硬変や肝臓がんなどが既に起きている場合、専門医か公立病院の肝臓クリニックなどで治療が必要です。
 治療開始後4週間で一度肝機能、腎機能、全血球検査が必要です。治療後12週目で、C型肝炎ポリメラーゼ連鎖反応検査をして完治しているか確認します。もし完治していなかった場合は、専門医で繰り返し同じ治療薬をもう一度投与することもあります。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。


鳥居 泰宏(とりい やすひろ)
ノースブリッジ・メディカル・プラクティス

メルボルン大学医学部卒業。Northbridge Family Clinicを昨年閉院し、現在Northbridge Medical Practiceで診療中

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