▶▶▶フィジオセラピストは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医を紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう!
第87回 ランニングでけがをしないために
明けましておめでとうございます。新年の目標を立てる時期が来ました。毎年“健康管理”を新年の抱負に掲げる人は多いと思います。その一部としてマラソン大会への出場やタイムの短縮など、具体的に設定する人もいるでしょう。
でも、待って! 走り出す前に、次の5つの項目をやってみましょう!
ランニングを始める前に、これはできる!?
1~2月は、ランニングを始めてけがをする人が増える時期です。まずは、自分の脚力を客観的に判断するためにも、以下の5項目をやってみましょう。もしできないようであれば、それを基にトレーニングを行い、準備を整えてからランニングに臨むとけがをせずに、楽しく続けることができるでしょう。
- 片足スクワット
30秒で20回、各足ずつ。全身が映る鏡の前で、ひざ頭(がしら)が真っすぐ上下し、内側に入らないようにすること。
- 片足かかと上げ
30秒で20回、各足ずつ。安全とバランスを保つため、壁やいすの背を軽く持つ。
- プランク
60秒。床でほふく前進の姿勢になり前腕(ひじから手)と両足つま先で体を一直線に支える。
- 空気いす
60秒。壁に背中をあずけ、ひざと股関節をそれぞれ90度にかがんだ状態に保つ。
- 片足で一段ジャンプ
30秒で20回、各足ずつ。階段の一段を片足でジャンプして上がり、ホップして元の位置に下がる。
※1、2、3はそれぞれ「テンポ160(1分間に160回拍子を打つリズム)」に合わせて行います。メトロノーム・アプリなどを使えばテンポを取りやすいでしょう。このリズムは速いように感じますが、実際のランニングのリズムに合わせています。実はこの5項目は、簡単そうに見えて結構大変です。しかし、これらを各30秒もできないにもかかわらず、ランニングで1キロでも走ろうとすると筋力が付いていないので、ひざや足首などに大きく負担が掛かることが容易に想像できます。
奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)
シドニー大学理学療法学科卒業後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダーリングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。
Web: www.metrophysiotherapy.com.au