不動産のプロに聞く 豪州不動産事情
第79回
2018年12月現在の主要都市の不動産市場の状況
情報サービス会社であるコアロジック(CoreLogic)社より発表された最新の不動産統計によると、2017年10月からの1年間で、オーストラリア全土での不動産価格は3.5パーセント下落しました。
価格下落の要因は、シドニーとメルボルンの2都市で価格低下が続いていることが挙げられますが、月や四半期ごとで見てみるとアップ・ダウンしつつも、年間を通して価格の上昇が続いている都市もあります。
過去数年の伸び率がほぼ横ばいのブリスベンは、まだ新規物件の過剰供給が見られるものの、現在のインフラ整備の進み具合や雇用の拡大により、今後3年間で伸びる可能性のあるエリアとも言われています。
このところ投資家に注目されているアデレードは、過去数年にわたり物件価格が上昇していますが、全国平均を上回る失業率の高さと雇用の伸び率が低いことから、長期的な成長が期待できないのではないかと懸念されています。
過去3年で、全主要都市の中で一番の伸び率を見せているホバートでは、現在建設が進んでいる数多くの新規アパートメントの完成までが価格上昇のピークではないかと見られています。
戸建ての価格上昇率が高いキャンベラでは、今後しばらく人口増加が見込まれているので、引き続き高い需要が予想されています。
それぞれの都市によって物件の上昇率はさまざまで、不動産市場は人口と雇用の増加、物件の需給のバランスに左右されます。
物件価格の全国平均が下降傾向にある今、長期的な成長が期待できるエリアの選別が重要視されています。
スターツ・インターナショナル・オーストラリア
取締役シドニー支店長
寺田環
NSW州、VIC州不動産業者免許(フル・ライセンス)所持