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ジュリア・バンクス無所属連邦下院議員

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政界こぼれ話人物編 その217

ジュリア・バンクス無所属連邦下院議員
Julia Banks

つい先日、自由党から離党して無所属議員となったジュリア・バンクス連邦下院議員は、1962年9月18日にメルボルンで誕生している。両親ともにギリシアからの移民である。モナッシュ大学から人文学士と法学士の学位を取得。大学卒業後は弁護士や企業幹部として、四半世紀以上にわたりビジネス界で活躍している。連邦政界入りを果たしたのは、2016年7月に実施された前回選挙の時である。

バンクスの出馬したメルボルンのチズム選挙区は、1998年選挙以降、労働党のバークが保持してきた同党の地盤選挙区であったが、そのバークは16年選挙には出馬せず、政界から引退。これに助けられて、バンクスが新人労働党候補との激戦の末に勝利を収めたという経緯がある。

周知の通り、16年選挙はターンブル率いる保守連合政府が予想外の苦戦をして、選挙前には90であった下院議席数を、過半数ギリギリの76にまで減少させた選挙である。そういった中でバンクスは、労働党が保持していた選挙区で勝利した唯一の保守連合候補となっている。

その後、陣笠(じんがさ)議員として活躍してきたが、今年の8月にターンブル首相が失脚した後、バンクスは大きく注目されることとなった。まずバンクスは次期連邦選挙には出馬しないことを宣言している。これがかなりの注目を集めたのは、バンクスが早期引退の理由として、自由党内の恒常的な「お家騒動」に嫌気が差したことを挙げたばかりか、8月のダットン内務大臣による党首挑戦劇では、ダットンの支持者から恫喝され、支持を迫られたとして、党内の陰湿な「苛め」が引退を決心する上での最後のひと押しになった、と主張したことであった。

もともと自由党は、労働党に比べて女性議員や女性の登用も少ない、と批判されてきた政党である。そのためバンクスの一件で、自由党の旧態依然とした党風が再度注目されたのである。しかも11月になると、バンクスは再度「爆弾」行動を採っている。すなわち、いきなり下院議場で自由党からの離党を宣言し、今後は「クロス・ベンチャー」、要するに下院の「その他」議員として、とりわけ他の「その他」女性議員3人と連携していくことを表明したのである。モリソン政権は、ウェントワース連邦下院補欠選挙での敗北後に「マイノリティー政権」となったが、その状況も一層悪化することとなった。

バンクスは人権問題などに強い関心を抱く自由党の穏健派に分類できたが、以上のような行動からも明らかなように、理不尽なことには断固として立ち向かう、正義感の強い女性である。ただ自由党内には、バンクスの行動を党への裏切り行為として、強く批判する向きもある。

不出馬宣言を遵守するか否かが大いに注目されるが、ただ仮に翻意して無所属で出馬しても、「資源」のないバンクスが再選されるのは容易なことではあるまい。夫のマイクとの間に2人の大学生の子どもがいる。

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