ビジネス・ネームとは何か
「ビジネス・ネーム」という言葉を聞いたことがありますか。また、これからビジネスを始めようとしている人はそれが何であるのか、自分に必要なのかと思われるでしょう。
ビジネス・ネームというのはビジネスをする際、個人事業主(Sole Trader)は自分の名前、会社であれば会社名以外の名前で営業する時に必要なものです。ビジネス・ネームを取得しても、何か権利が与えられるわけでも、責任が変わるわけでもありません。ただの義務です。簡単に言うと芸能人の芸名のようなものです。
例えば、個人事業主のTaro Ippatsuさんが、ビジネスに名前を付けずパソコン修理サービスを行う場合はビジネス・ネームは必要ありません。しかし「Ippatsu Computer Repair」と名前を付けて営業する場合は「Ippatsu Computer Repair」というビジネス・ネームの登録が義務となります。
会社も同様で「Ippats Investments Pty Ltd」という会社が、「Ippatsu-do」というラーメン店を開く場合はビジネス・ネームの登録が必要です。弊社「Ezy Tax Solutions Pty Ltd」は「Ezy Tax Solutions」として営業していますが、この場合はビジネス・ネームは必要ありません。しかし「Ezy Tax Online」というオンライン事業の名前ではビジネス・ネームを取得しています。
よく勘違いされるのは、ビジネス・ネームはその名前を保護するものではなく、上記のように営業名が事業母体の名前と異なる場合にその取得が義務付けられます。
これに対し、名前を守る目的で登録されるのが「Trademark」(登録商標)です。ペプシ・コーラやピザ・ハットなどの巨大ビジネスは、その多くがTrademarkを取得しています。ロゴの横に「®」や「TM」と小さく書かれているのを見たことがあると思います。
ビジネス・ネームの登録は「ASIC(Australian Securities and Investments Commission)」という政府機関で管理され、登録もASICで行います。1年ごとまたは3年の登録があり、登録料は現在、1年登録で36ドル、3年登録で84ドルです。既に類似した名前が登録されている場合は登録ができません。登録できるかどうかは、ASICのウェブサイト(Web: connectonline.asic.gov.au)でチェックできます。
クレジット・カードでの支払いを提供しているビジネスは、レシートの表示にビジネス・ネームを使うように設定すると良いでしょう。顧客に発行したクレジット・カード利用控えに自分の名前が出るのは避けたいところです。
ビジネス・ネームの登録をせず、勝手に名前を付けて営業している人は至急ビジネス・ネームを登録しましょう。
賀谷祥平
競馬騎手、Ezy Tax Solutions Pty Ltd代表取締役。豪州公認会計士、米国公認会計士、登録税理士。James Cook University MBA、University of New England会計学修士、上智大学経済学部卒。2001年上智大学在学中に、騎手を志し豪州の競馬学校に入学。03年、NSW州Coffs Harbour競馬場にて騎手デビュー。現在はNorth QLDで騎乗している。
Web: www.facebook.com/shoheikaya