シドニーを拠点とするサークルまたはコミュニティーの活動に編集部員が突撃し、取材を敢行。それまでなかなか発信しきれなかった活動の詳細や団体の魅力を紹介する。
第19回 ジャカランダ文庫
“文庫”という存在
シドニー市内中心部近くで活動しているジャカランダ文庫。そもそも「文庫」とは、日本にあるボランティア団体「国際児童文庫協会」が国内外の子どもたちのために本や絵本を通じて、学び合うことを目的に展開させているものだ。現在、海外では14カ国64文庫にまで広がり、オーストラリアではシドニーの他、メルボルン、ブリスベン、パース、キャンベラ、アデレードに点在する。その全ての文庫は、子育て中のママたちによって運営されている。
ジャカランダ文庫は2004年に設立され、今年で15年目を迎える。シドニー市内では長い歴史を持つ文庫の1つだ。文庫が発足すると、国際児童文庫協会から最初の100冊が助成されるが、ジャカランダ文庫はその長期の取り組みを通して900冊を超える蔵書量を誇るようになった。
ニーズに合わせて少しずつ変化
同文庫は毎週火曜日、ウルティモにあるコミュニティー・センターで、学校のターム(年間4ターム制で1ターム10回)に合わせて開催されている。
朝10時30分に「ハイハイ・グループ」の人たちが集まり始め、わらべ歌や季節の歌を親子で手や体を使いながら歌う。その後、2グループに分かれて絵本の読み聞かせ。更に11時30分からは紙皿や粘土、はさみなどを使って工作するクラフトが行われ、正午には終わるスケジュールだ。読み聞かせや工作は毎回ママが担当し、1ターム中に必ず一度は両方を行うようにしているのだという。
取材に訪れた日は、子ども20人、ママが16人集まっていた。一見にぎやかだが、昨年は多くの子どもたちがキンディーに上がると共に抜けた結果、同文庫は存続の危機に立たされた。そこで、赤ちゃんも参加できるよう先述の「ハイハイ・グループ」を新設。工作が難しいようであれば、読み聞かせの時間まで参加できるようなフレキシブルな対応にしたという。また、今まで手書きで管理していた本の貸し出しも携帯アプリを導入、バーコードを読み込むだけで済む簡易システムにした。
そうした変化に伴い、同文庫は新米ママと先輩ママの子育てに関する情報交換の場としてもより発展してきたという。新しい輪が生まれたことで、活気も得られたそうだ。
「ママたちが活躍できる場がジャカランダ文庫にはあります。本の読み聞かせやクラフト担当などの出番があることで『しゃきっと』します。まだまだ自分は活躍できると、やりがいを見出せるのだと思います」
同文庫・代表のドイウェル恵美さんはそう話す。海外での子育てには不安が付きもの。迷うママも少なくない環境の中、同文庫が果たす役割は大きい。(リポート:高坂信也、駒田茉佑)
PRメッセージ
ジャカランダ文庫・代表
ドイウェル恵美さん
子どもたちはどこに住もうと、情緒的にバランスのある市民として成長するためには、自分につながる文化と言語を知ることが大事です。絵本の読み聞かせは自己肯定感をも育てるのだそうです。本を借りるだけの図書会員も募集中です。まずは気軽に見学にいらしてください。ご連絡(Email: jacaranda.bunko@gmail.com)お待ちしています。ブログもぜひご覧ください(Web: bunko3.exblog.jp)。
シドニー市内を拠点とし、当コーナーでの紹介を希望するサークルまたはコミュニティーは、代表者氏名・団体名・活動内容・活動場所を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)までご連絡ください。また紹介団体については、非営利団体に限ります。