第19回:真っすぐに 気高く美しく
こんにちは。いけばな講師をしていますYoshimiです。今月は私の好きな花の1つでもある「デルフィニウム」について、書いてみようと思います。
花市場に行くと花丈が高いためか、好きな花だからか真っ先に目に留まります。色も奇麗で淡い空色や、突き抜けるような濃い青色、その他にも藤色や濃い紫、赤紫があります。別名「大飛燕草」(オオヒエンソウ)とも呼ばれていてます。花弁の形が「ツバメ」が飛んでいる姿に似ていることからそう呼ばれるようになったのかは分かりませんが、よく見るといろいろな動物の形に見えてくる、面白い花の形をしています。
花の説明が長くなりますがもう1つ。この花の茎の中心は空洞になっています。そのため、デルフィニウムをいけばなにする時は剣山を使用するのがとても難しくなってきます。空洞の中に細い枝を差し込んだり、ワイヤーを入れて留めようとしてもなかなかうまくいかないことが多いです。短く切ってしまうとせっかくの花丈の美しさを壊してしまうので、こういう場合には剣山を使わない投入花器を使う方が良いと思います。
また深い入れ物を使ってしまうと、花の線の魅力を損なってしまうので、なるべく浅目の器に「こみ」を入れていけてあげましょう。「こみ」とは、以前のコラムでも触れましたが下記の写真のように枝でしきりをつけることです。お稽古では横一文字に1本入れる練習から始めますが、さまざまな形状の花器にも「こみ」を入れるといけ方のバリエーションが広がります。
今回は縦横に2本ずつ入れて狭いしきりを作ります。そうすると花を入れた時に、花器の縁に寄り掛かることなくスッと真っすぐな立ち姿にいけてあげることができます。ギリシャ語で「イルカ」を指すこの花は幸せを呼ぶ花としてヨーロッパでは昔から結婚式などでも使われてきました。花言葉を知り、人びとに愛されてきたデルフィニウムに出合ったら、真っすぐに立ちあがるその美しさを感じるだけでも、心が軽くなるひと時を味わえ、幸せが舞い込んでくるような気持ちになれますね。
Yoshimi
草月流華道講師。幼少の頃から花を嗜む。学生の頃、本格的に活動を始め大阪高島屋に出展。兵庫県議会公館迎え花を担当。シンガポール駐在中に趣味の油絵といけばな展をシンガポール高島屋で行う。現在はシドニーのセント・アイビスのスタジオで華道教室フラワー・イン・ライフ(www.7elements.me)を開講