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専門家に聞いた!オーストラリアのビザ最新事情2019

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オーストラリアのビザ最新事情2019

変動が激しいことで知られるオーストラリアのビザ事情。前年度との変更点を始め、申請に欠かせない必要書類や費用、条件などの基本情報に加え、今後予測される動向とそれに合わせた注意点やアドバイスなどを専門家に伺った。「ワーキング・ホリデー・ビザ」「学生ビザ」「就労ビザ」「パートナー・ビザ」に関する最新情報はもちろん、ビザ・エージェント・インタビューもお届けする。

ワーキング・ホリデー・ビザ

取材協力=日本ワーキング・ホリデー協会/田中貴規さん

注意前年度との変更点

ビザの申請料金が値上がりし、450ドルから485ドルになりました。また、申請に当たり金融機関の英文の残高証明書の提出が必須となりました。
 その他の大きな変更点として、2019年7月1日よりサード・ワーキング・ホリデー(以下、WH)・ビザが開始され、オーストラリアに最大36カ月間滞在することが可能となりました。サード・ビザの申請条件は、セカンド・ビザを取得していること、そしてセカンド・ビザ利用時にオーストラリア政府が認めた第1次産業で6カ月以上働くことです。

ビザ申請基本情報

【対象】

  • 18歳以上30歳以下の日本国籍所有者
  • これまで一度もWHビザを利用してオーストラリアへ入国したことがない者

【必要物・書類】

  • パスポート
  • クレジット・カード(ビザ申請料金支払いのため)
  • 金融機関の英文残高証明書(オーストラリア・ドル建て)

【申請費用】

  • $485

【取得に掛かる時間】

  • 75%の人が13日以内、90%以内の人が22日以内に発給

ビザ取得までの流れ

WHビザはオンラインで申請します。申請後、75%の人が13日以内、90%の人が22日以内に発給許可の通知を受け取ります(申請後すぐに発給許可が下りるケースも多く見受けられます)。この時、あくまでも発給許可を受けているだけなので、まだビザは発給されていません。ビザは入国した際に発給され、有効期間が設定されます(入国日から12カ月間)。発給許可が下りてから1年以内に入国しなかったり、WHビザの発給許可を持っている状態で別のビザを使ってオーストラリアに入国してしまうと、ビザが消失してしまう可能性がありますのでご注意ください。

ビザ申請時の注意点

オーストラリアのWHビザの申請はオンラインでしか行うことができません。スマートフォンからもオンライン申請のウェブサイトへアクセスすることができますが、スマートフォンでは正しく表示されない箇所もあるため、必ずパソコンから申請を行ってください。また、2019年より提出が必要となったオーストラリア・ドル建ての英文残高証明書は、7,000ドル以上を推薦しています。(滞在中の十分な資金として5,500ドル以上に加え、帰国時の航空券を購入できる資金1,500ドル)金融機関で英文のオーストラリア・ドル建ての資金証明書(残高証明書)を依頼し、準備をしましょう。英文残高証明書は発行から1カ月以内の物しか認められていないので注意が必要です。

ビザ保有者の制約など

オーストラリアのWHビザでの滞在期間は12カ月です。ビザ発給許可を受けた日から1年以内にオーストラリアに入国する必要があり、ビザは入国をした日から12カ月間有効となります。ビザの期間中であれば出入国は自由ですが、オーストラリアに滞在していない期間があったとしても入国時に定められたビザの有効期間は変更されません。WH中は、最大6カ月までしか同一雇用主の元で働くことができません。しかし、収入額に上限などは特に設けられていません。税率は年収3万7,000ドルまでの場合15%、年収3万7,000~9万ドルまでの場合32.5%の所得税が掛かります。

今後のビザ動向予想

2016年ごろに一度発表があってから音沙汰がありませんでしたが、今年ようやくオーストラリアとカナダ、アイルランドにおけるWHビザの年齢上限が35歳に引き上げられました。日本人も毎年約1万人がWHビザを取得し来豪しているため、今後も年齢制限が引き上げられる可能性が非常に高いと思います。

ビザ取得を検討中の人へアドバイス

WHの期間は1年間ですが、ビザを変えればより長く滞在することが可能です。ビザ切り替え(特に学生ビザへの切り替え)は思い立ってすぐにできることではありません。1~2カ月くらいの余裕をもって行動するようにしましょう。また、申請は1人でもできますが、ビザの概要は告知なく変更されることもあります。まずは留学やWHをサポートしている企業や団体に相談してみてください。
 WHや留学に置いて重要なのは、しっかりとしたプランを事前に作ることです。そのためにも、WHビザを利用する前に来豪する目的や、WHを通して達成したい目標を改めて明確にしましょう。

プロフィル◎田中貴規(たかのり)
一般社団法人 日本ワーキング・ホリデー協会

大学在学中に大学の留学プログラムを使いアメリカへ1年間留学。日本で4年間働いたのち、来豪。2年間のワーキング・ホリデーを経て帰国後に日本ワーキング・ホリデー協会に勤務。

就労ビザ

取材協力=アーンスト・アンド・ヤング/トニー・ミンさん

注意前年度との変更点

就労ビザのルールは常に変化しています。昨年3月には、457ビザが廃止され、「Temporary Skill Shortage(TSS)」ビザが導入されました。TSSビザ導入以降の変更点はたくさんあります。
 まず、申請者にとっての変更点は、ビザの申請には2年の職務経験が必要になったことや、英語条件も変更されました。次に、企業側にとっての大きな変更点は、トレーニング・ベンチマーク(スポンサー企業が現地従業員に対し行う研修基準)に代わりトレーニング・レビー(職業訓練費用の支払い義務)が導入された点かと思います。
 また、申請料も度々変更されており、最近では今年7月にも一部申請料の値上げがありました。申請可能な職業リストに関しても、TSSビザ導入時に大幅に見直されてから、その後も変更され続けています。

ビザ申請基本情報

ひと言で“就労ビザ”といってもTSSビザ、短期就労ビザ(400ビザ)、トレーニング・ビザ、そして短期の出張者に多いビジネスETAなどいろいろな種類があり、それぞれで必要な条件や書類が異なります。下記にその一部を紹介します。

【対象】

  • TSSビザ:駐在員の人が主に取得するTSSビザは、必須条件が各申請職種などによって異なります。個人、職種や職務に関する書類の提出はもちろん、無犯罪証明書も必要です。また、過去5年間に3カ月、シンガポール、インドネシア、タイなどに住んでいたことがある場合は健康診断を必ず受けなければなりません。
  • 短期就労ビザ(400ビザ):最長6カ月のビザですが特殊な技術、知識または経験を持っていることが条件となり、ビザ申請時及び承認時も必ずオーストラリア国外にいる必要があります。
  • トレーニング・ビザ:最長2年の申請が可能ですが、その名の通りトレーニングを目的としており、細かなトレーニング・プランが必要になります。
  • ビジネスETA:出張で来豪する人がよく利用し、1回の来豪で3カ月まで滞在が可能です。ただし、このビザは会議やセミナーの参加などは可、実際の現地の企業での業務は不可など、できる内容が決まっているので注意が必要です。

【申請費用】※TSSビザ申請費用

  • スポンサーシップ…$420
  • ノミネーション…$330
  • TSSビザ…

    A)短期就労(2年ビザ):申請者$1,265、配偶者$1,265、18歳以下の子ども$320

    B)中期就労(4年ビザ):申請者$2,645、配偶者$2,645、18歳以下の子ども$660

  • トレーニング・レビー…

    A)年間売り上げが$1,000万未満の企業は主申請人当たり$1,200 × 申請年数

    B)年間売り上げが$1,000万ドル以上の企業は主申請人当たり$1,800 × 申請年数

【取得に掛かる時間】

※認定スポンサーの場合はノミネーション及びビザの審査が優先さるので標準スポンサー(Standard Sponsor)よりも早くビザが取得可能。

ビザ取得までの流れ

各種必要書類が用意できたら、申請書を移民局に提出します。現状では、TSSビザの場合、長くても2カ月ほどで認可が下り、ビザの取得となります。ただし、審査が始まっても審査官が提出した書類では不十分だと判断したり、未提出の書類があった際は追加書類の提出を求められることがあります。その場合は通常28日の提出期限が設けられ、その期限までに追加書類の提出が必要です。ただし、期間内に追加書類を提出しても、その後の審査再開時期は分からず、ビザ取得までに更に時間が掛かる可能性があります。

ビザ申請時の注意点

前述のとおり、就労ビザにもそれぞれ異なった目的や条件があり、まずはどのビザが適切であるかを確認した上で申請を進める必要があります。
 また、提出する書類の中でも申請時に必要なもの、申請後に提出可能なものを正確に把握することでビザ取得までの時間の短縮が可能です。例えば無犯罪証明書は、領事館などで申請をすると現在、取得までに2~3カ月掛かるとされていますが、日本で申請すると約2週間前後で取得が可能です。このように必要書類の取得方法やタイミングも、申請する際に考えるポイントになるかと思います。

ビザ保有者の制約など

TSSビザに関して言及すると、申請者本人の場合、ビザが下りた職種、許可された雇用主のみでの勤務に制限されます(雇用主がオーストラリア企業の場合は関連会社での勤務も可能)。
 入国してから90日以内に勤務を開始、または既に国内にいる場合は、ビザが下りてから90日以内に勤務を開始する必要があり、スポンサー企業での勤務を、連続して60日以上中止してはいけません。これらの制約に加え、必要な資格、登録証明やメンバーシップを保持する必要があります。また、雇用条件を変更する場合は以下に注意する必要があります。

雇用主(勤務先)を変更する場合:
既にTSSビザを保有している場合は、新たなビザの申請の必要はありませんが、新しい雇用主は移民局の認可が下りた雇用主であり、勤務開始前に新しい雇用主によるノミネーションが申請されかつ承認が下りている必要があります。新しいノミネーションが下りても既存のビザの有効期限及び付帯条件は変わらず、新しい勤務先では以前と同じような職種に就く必要があります。

職種を変更する場合:
既存または新しい雇用主から、変更する職種でのノミネーションの申請と共に新しいTSSビザの申請が必要です。新しい職種での勤務開始には、必ずノミネーション及びTSSビザが事前に下りていなければなりません。

今後のビザ動向予想

今後のビザ動向を予想する上で大切なのは、各政党や移民局の動きを見ていくことです。
 前回の連邦選挙で、労働党ではビザ申請が可能な職業を審査する新たな政府の諮問機関の設立や労働市場テストの強化などが計画されていました。結局、保守連合政権が再選し、同政権は2年前に就労ビザを改正したばかりなので、今後就労ビザへの大きな変更はないと予想されます。同政権のビザに関する変更は、既に発表されている永住ビザの発給枠の縮小と、地方への定住を促進する制度の推進とされています。もし前回の選挙で労働党政権が実現していたら、ビザ申請可能な職業が大幅に縮小されていたかもしれません。
 移民局は、ビザの申請が可能な職業を定期的に見直しています。近頃は、時代の流れと共に、従来では想像できなかった新しい業種ができ、創造性や革新性のある仕事が多くを占めるようになってきています。移民局の職業リストは、昔からある組織体制やこれまで通りの職種が前提となっているため、以前には存在していなかった業種や職種に対応できるようになるかが課題です。時代の流れに対応し、オーストラリアが本当にこれから必要とする人材を海外から受け入れていくような制度に変えていく必要があるでしょう。

ビザ取得を検討中の人へアドバイス

申請する期間、目的や条件によって就労ビザの種類も異なるので、一番適したビザで、万全の準備をしてビザ取得の可能性を広げることが重要です。特に永住権を視野に入れている場合、TSSビザではMLTSSLにある職種であることに加え3年の経験が必要とされています。ただし、以前から457ビザを保有している場合や永住権でもカテゴリーで条件が異なってきます。
 このように、ケースごとにビザの種類、必要書類や条件、また申請するタイミングなどが異なってくるので、専門家に相談することをお勧めします。

プロフィル◎トニー・ミン
アーンスト・アンド・ヤング

EYシドニー事務所、グローバル・イミグレーション・チームのマネージャーで「Migration Institute of Australia」のメンバー。ニュージーランドの移民手続きの資格もあり、NSW州の「Justice of the Peace」でもある。長年において日系企業のビザの手配を幅広く手掛けおり、特に就労ビザや永住権代行申請の実績が豊富である。

学生ビザ

取材協力=Travel & Travel/幡地淳さん

注意前年度との変更点

2019年7月1日から、ビザ申請料が値上がりました。以前は、575ドルだった申請料が、620ドルに変更になりました。

ビザ申請基本情報

【対象】

  • オーストラリア国内で3カ月以上就学することを目的とした6歳以上の者
  • CRICOS(Commonwealth Register of Institutions and Courses for Overseas Students)に登録されている学校から入学許可書COE(Confirmation of Enrollment)が発行されている
  • OSHC(Oversea Student Health Cover)健康保険に加入している

【必要物・書類】

  • パスポート
  • クレジット・カード(Debitカードも可)
  • COE、OSHCの証明
  • Genuine Temporary Entrant(GTE)

【申請費用】

  • $620

【取得に掛かる時間】

  • 即日~3、4カ月

ビザ取得までの流れ

オーストラリア国内で学生ビザを申請するためのプロセスは下記の通りです。

  1. 学校、コース、期間、入学日を決める(学校がCRICOSに登録されていなければなりません。コースはパートタイムではなくフルタイムである必要があります。期間はコースにより異なります。例えば、同じDiplomaコースでもA校なら1年間、B校な2年間など。入学日も学校により異なります)
  2. 学校への入学申込みを行う
  3. その学校への入学条件を充たす(年齢、英語、学歴、職歴など)
  4. 入学案内レターと請求書をもらう
  5. 内容を確認し同意できれば、入学金や授業料を支払う
  6. 学校が入学許可書(COE)を発行
  7. OSHC健康保険に加入
  8. 学生ビザ申請

ビザの申請は、オーストラリア移民局のウェブサイトからオンラインで行うことになります。25ページもの入力画面があり、パスポート情報を始め、日本の連絡先、学歴、職歴、過去10年間の海外渡航履歴、家族の誕生日などを入力します。慣れていても2時間程度掛かります。申請途中で入力画面を保存することができるので、分からないことがあれば一度保存をして調べてから入力を再開することも可能です。また、申請後は、受講するコースにより別途書類を要求されることもあります。例えば医療系やチャイルド・ケア・コースを受講する場合には健康診断が求められます。

ビザ申請時の注意点

オーストラリア国内で学生ビザを申請する場合は、有効なビザ期限内に申請する必要があり、また、ビザが切れる日から28日後以内に入学日が設定されていなければなりません。例えば、現在オーストラリアに滞在しており、そのビザ期限が10月1日であれば、学校の入学日は10月29日以前になくてはなりません。もし受講したいコースの入学日が10月30日以降であるならば、オーストラリア国内での申請はできません。ビザが切れる10月1日までに日本に帰国し、日本から学生ビザを申請することになります。日本から学生ビザを申請する場合は、入学日からさかのぼって2カ月前には申請することをお勧めします。

ビザ保有者の制約など

学生ビザ保持者は、授業に出席し課題などをこなし、コースを満了することが重要です。就学中に就労することも可能ですが、2週間で40時間までという時間の制限(学校が定めるホリデー期間中は制限なし)があります。学生ビザを保持している間は、何度でもオーストラリアから海外に出入りすることができますが、その際は、学校に住所や連絡先を常にアップデートしておくことが大切です。また、学生ビザで永遠にオーストラリアに滞在することはできません。学校を卒業し、ビザ期限が切れる前に出国し日本に帰国することになります。学生ビザが切れる前にまた別のビザを申請することも可能です。

今後のビザ動向予想

オーストラリアのビザは頻繁に改正されることがあるので、常に新しい情報をチェックし、アップデートすることをお勧めします。

ビザ取得を検討中の人へアドバイス

最近は申請時に求められているGenuine Temporary Entrant(GTE)の作文の審査が厳しくなっているようです。「なぜオーストラリアの、その学校でそのコースを受講するのか」といった明確な理由や目的、その就学の価値などを明確に伝えることが要求されています。留学生活を有意義に過ごすためにも、事前に自分の考えをしっかりとまとめておくと良いでしょう。

プロフィル◎幡地淳(はたちじゅん)
Travel & Travel(トラベル・トラベル/通称トラトラ)

広島県出身、1993年長崎大学水産学部卒業。社会人経験を経て2001年に来豪。05年セントラル・クイーンズランド大学で「Master of Information Systems」を修了し永住権を取得。在学中からトラトラに勤務し、06年に「Migration Agent」の資格(MARN0640840)を取得しビザ相談も行っている。

パートナー・ビザ

取材協力=Phoenix Law & Associates/清水英樹さん

注意前年度との変更点

2018年の11月に下院を通過した「The Migration Amendment(Family Violence and Other Measures)Bill 2016」という改正案により、今後のパートナー・ビザの申請方法は、大きく変更されることになります(※2019年8月14日時点では、最終的な法案として制定されておらず、正式な導入時期は不明)。改正後は、下記のような変更があると言われています。

  • パートナー・ビザの申請前にスポンサー申請を行い、認可を取得すること
  • パートナーに対して、法的なスポンサーとしての義務が課せられる
  • スポンサーとしての義務を果たせない場合には、何かしらの罰則を科すこと
  • スポンサーが、暴力犯罪の過去を有する場合には、ビザ申請との過去の犯罪歴などの個人情報の共有を同意しなければならない
  • スポンサーに、暴力犯罪を犯した過去が見つかった場合には、移民局がスポンサーの認可を剥奪できる

パートナー・ビザ申請後、家庭内暴力の被害に遭ってしまうビザ申請者が昨今増加傾向にあることから、家庭内暴力から主に女性を救済する意味合いで、こうした改正がされることになりました。
 今後、パートナー・ビザの国内ビザ申請を行いたい場合には、ビザ申請の前にパートナーのスポンサー申請をして認可を取得する必要があり、それには12週間ほど掛かると言われています。そのため、ビザ申請者のビザの有効期限内にビザ申請ができなくなるケースが生じるかもしれません。また、今まではスポンサー自身の犯罪歴などは、ビザ申請者には分からないままでの申請が可能でしたが、暴力関係の犯罪を犯してしまったスポンサーに対しては、そうした過去の犯罪歴などをビザ申請者に開示することが必要になります。

ビザ申請基本情報

【対象】

  • AUS国籍、永住権または特定のNZ国籍を保持する相手と結婚している、または12カ月以上ディファクト関係にある(州政府に関係登録している場合は12カ月以下でも可)ことが証明できる18歳以上の者

【必要物・書類】

  • 婚姻証明、関係登録証
  • 法廷宣誓書
  • Form 888(AUS国籍または永住権保持者からの宣誓書)
  • 共同名義の書類(賃貸契約書、保険、銀行口座など)
  • 互いを受取人とする遺言書やスーパー・ファンド
  • 写真など

【申請費用】

  • $7,715(健康診断:$300~400、オーストラリア無犯罪証明:$42、翻訳代などその他諸経費を除く)

【取得に掛かる時間】

  • 国内申請22~28カ月、国外申請15~20カ月(2019年8月現在)

ビザ取得までの流れ

パートナー・ビザ申請の手続きの流れは以下となります。

  1. 専門家への相談
  2. ビザ申請に必要な書類の収集
  3. ビザ申請書類作成
  4. 移民局へのビザ申請
  5. 追加申請ならびに移民局からの追加資料請求に対する対応
  6. 暫定ビザ取得(この期間において、2人の関係が破綻してしまう場合には、ビザがキャンセルとなる)
  7. ビザ申請日から2年後に永住権取得のための再審査(前回提出した書類の更新版など追加書類提出)
  8. 永住権認可取得

ビザ申請時の注意点

パートナー・ビザにおいては2人の関係が、「真面目で継続的」であり、虚偽でなければ、きちんとした申請の準備を行うことで問題となることはありません。しかし、申請をする際の注意点としては以下が挙げられます。

お互いのことを理解していること:
今後、スポンサー申請の認可が下りなければ、ビザ申請自体ができなくなるという話をしましたが、本当にスポンサーのことを理解しているか、このビザ申請をきっかけに確認することが必要です。スポンサーの過去の経歴が問題となり、ビザの取得ができなくなるということもあります。これから何十年と一緒に暮らすために婚姻関係、またはディファクト関係を始めるわけですから、過去の問題も含めお互いのことをきちんと把握し、理解しておく必要があります。

早めの準備と余裕の申請:
今後スポンサー認可取得がビザ申請前に必要になるという場合には、2~3カ月の猶予を持たなければ、国内でのビザ申請が行えなくなるかしれません。申請書類は8割方は提出できる状態でなければ申請をすることも勧められません。申請をする場合にはしっかりとした時間的な準備をしましょう。

専門家への相談:
現在までの2人の関係を含め、それをどのように移民局の審査官に伝えていくか、または2人の関係に関して特別な事情がある際については、移民法を専門とする弁護士に早めに相談をすることが重要です。

ビザ保有者の制約など

基本的にパートナー・ビザにおいては、一旦暫定ビザの取得ができてしまえば、特に滞在上の制約はありません。それどころか、パートナー・ビザ申請を行った時点でメディケアへの加入も可能となりますし、国内申請の場合はブリッジング・ビザで審査を待つ間、自由に働くことも可能です。昨今オーストラリアでは同姓婚も認められましたが、パートナー・ビザの申請者は同姓同士の関係であっても問題ありませんし、現時点ではスポンサーの財政的能力も特に問われていないので、収入の大小が原因でビザが取得できなくなるということもありません。
 パートナー・ビザは、2段階で永住権の取得につながります。申請自体は1つの申請を提出するのみですが、その1つの申請で最初2年間の暫定ビザと永住権の申請へとつながっています。もし、暫定期間中に2人の関係が破綻してしまった場合には、ビザがキャンセルとなる場合があります。しかし、暫定ビザの期間中に関係が破綻しても、そのスポンサーとの間に子どもができた場合は、ビザのキャンセルはなく、そのまま2年の暫定期間を経ずに永住権の取得ができるとされています。

今後のビザ動向予想

今後、パートナー・ビザが、更に厳格化する可能性も否定できません。オーストラリア政府からも、今年初めに来年度の永住権発行数を19万の上限から16万に減らすという発表がありました。パートナー・ビザも、この全体の抑制の影響を受けることになり、その結果、現在審査待ちのパートナー・ビザの申請数は8万件近いのではないかと言われています。
 そうすると、必然的に永住権取得までの期間が今までよりも掛かってしまうことになり、ビザ申請者からすると大変落ち着かない期間が延びることとなってしまいます。前述したようにビザ申請者のみならず、スポンサーに対しても、今後厳しい目が向けられることになります。同棲を12カ月していれば簡単に取れるビザという考えは持つべきではありません。

ビザ取得を検討中の人へアドバイス

2人が初めて出会ったのはいつで、それから2人の関係がどのように発展していき、その後結婚またはディファクト関係に発展していったかなど、その2人のストーリー自体が第三者である移民局の審査官を納得させる内容であることが重要です。そのために、お互いを理解し合いながらこまめに2人の関係を証明できる記録など証拠作りをすると良いでしょう。
 また、オーストラリアの永住権の取得が最善の選択肢であるか再確認することも大切です。オーストラリア人のパートナーとの間に産まれた子どもは、離婚後、自由に日本に連れて帰ることができない可能性があります。パートナー・ビザというビザ申請ですが、自分たちの人生設計の一部ですので、“単なるビザ申請ではなく、人生の選択”という意識を持ち慎重に検討することをお勧めします。

プロフィル◎清水英樹
Phoenix Law & Associates

QLD州弁護士、ビザ・移民法政府公認アドバイザー(MARN9900985)。「フェニックス法律事務所」筆頭弁護士所長の他、移民ビザ専門コンサルティング会社「GOオーストラリア・ビザ・コンサルタント」、各種不動産売買手続き専門法律事務所「Conveyancing Home QLD」を経営する。

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