午後3時の甘い誘惑
誘惑には勝てない編集部員が、今月の「甘くておいしい世界」をご紹介!
“ロサンゼルスの今”が広がるモダン・カフェ
第27回 Paramount Coffee Project
シドニー・セントラル駅から歩くこと10分、古着屋やオープン・テラス付きのカフェが立ち並ぶサリー・ヒルズにある「パラマウント・コーヒー・プロジェクト」は、店内に足を踏み入れると、都会の住宅地にいることを忘れさせるような開放的な空間が特徴の人気のカフェだ。大きなガラス張りの窓から降り注ぐ自然光を浴びた草花や、山が描かれた絵などで彩られたギャラリー調の作りは時間をゆっくり感じさせるため、つい長居をしてしまいそうだ。アメリカのロサンゼルスに2つの分店を構える同店は、多文化社会でやりたいことを自由に挑戦できる現代のロサンゼルスの文化から強く影響を受けているという。
同店と同じオーナーが営む「パラマウント・ハウス・ホテル」と併設しているため、カフェを訪れる人の国籍はさまざまだ。メニューもカスタマーに合わせ、定番の「アボカド・トースト」や、ファンが多いという「フライド・チキン・ワッフル」「ココナツ・ライス・ポリッジ」「ミソ・ラーメン」など個性豊かな品ぞろえとなっている。今回取材に応じてくれたのは、バリスタとして14年間コーヒーと向き合ってきた経歴を持つ、店長のコビさんだ。彼女が胸を張ってお薦めしてくれた同店の人気スイーツは、「スキレット・パンケーキ」だった。鉄製の小さなフライパン、スキレットで熱々に焼かれたパンケーキは外はカリッと中はフワッとした理想的な食感だ。マスカルポーネ・チーズとグリルされたフルーツの酸味とメープル・シロップの甘さが絶妙にマッチしていて、シーズニングのピスタチオとローズマリーがパンケーキを一気に大人の味に仕上げている。
また、同店一番のこだわりは何と言ってもコーヒーにある。2013年にオープンした同店は、元々、オーストラリアでカフェを営んでいた人たちが、スポンサー契約や偏見など難しいことを抜きにして、自分たちの手で自由に選んだコーヒーを集め、人びとに紹介するショー・ケースのような場を提供したいと思ったことをきっかけにオープン。その後、自社焙煎場を持つロサンゼルスにまで店舗を拡大したそうだ。焙煎場を持たない同店では、バイヤーに頼らず、バリスタやマネージャーらが2週間ごとに一堂に集結し、使用する豆をブラインド・テイスティングで厳選しているという。コーヒーの種類は、仕入れたものの中から数日置きに入れ替わるので常連たちを飽きさせない。
特にコーヒー・メニューが充実する、週末の来店をお勧めしたい。バー・カウンターに座り、コーヒーがドリップされる様子を眺めながら甘いスイーツを食べてゆっくりする、そんな休日を同店で過ごしてみてはいかがだろうか。(リポート:水村莉子 宮島吉輝)
DATA
●住所:80 Commonwealth St., Surry Hills NSW ●営業時間:毎日7AM~4PM ●Web: www.paramountcoffeeproject.com.au