クイーンズランド州の釣り情報
フィッシング・ライター:金園泰秀(YASU=ブリスベン在住)
第158回
ティラピア退治の釣り大会
アフリカ原産のティラピアという魚は東南アジアを中心に盛んに養殖されている魚です。今や重要食料魚としてマーケットにも並べられ、庶民の魚としても有名です。
クセのない白身の川魚で姿もクロダイなどに似ているので、日本ではイズミダイと名付けられています。皆さんも知らずに弁当の白身魚のおかずや回転ずし、フィッシュ&チップスなどで口にしたことがあるかも知れません。
しかしこのティラピアは、ここオーストラリアでは要注意外来生物の有害魚に指定されています。ティラピアは70年代ごろ、クイーンズランド(QLD)州北部に観賞用の魚として、また水草・蚊の増殖を防ぐためとして移入されました。その後、外敵が少なく生命力も強かったこと、そして生息環境にも恵まれたことで、ティラピスは異常発生してしまい、従来の生態系を脅かす存在になりました。
QLD州では「ティラピア・バスターズ(Tilapia Busters)」という名の釣り大会が各地で開催されています。この釣りイベントには、カヌーや釣り道具など豪華な賞品も並べられているケースも少なくありません。釣れた魚は元に戻さず、たくさん釣ってたくさん処分することが奨励されています。
ティラピアではない魚ですが、QLD州では鯉(CARP)を飼うことも持ち込むことも禁止されています。鯉の生息数はまだそれほど多くありませんが、ニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州では各地で鯉が大繁殖し、やはり有害魚に指定され「ティラピア・バスターズ(Carp Busters)」の釣りイベントも開催されています。
ウェブサイト上で「Tilapia」または「Carp Busters」をキーワードに検索するとイベント情報を探せることでしょう。
なお両魚とも日本を含め、東南アジアでは普通に食用とされているので食べられます。しかし、強い生命力のため汚染された水域で生息しているケースが多いので、もし食用目的でしたら奇麗な水域で獲れたものか養殖されたものが無難かも知れません。
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