第23回:-HANABI-大空に描く瞬間の美
こんにちは。いけばな講師をしていますYoshimiです。今年もあっと言う間に年末を迎えようとしています。年末のカウントダウン・イベントで、シドニーのハーバー・ブリッジを中心に年明けを祝う花火は世界的にも有名ですよね。それぞれの打ち上げ場所から、同時に勢い良く上がる様子はエネルギッシュで豪快な感じがします。
日本の花火は夏の風物詩のように感じますが、全国津々浦々で季節を問わず打ち上げられています。先月は草月流本部講師の石川先生がデザインされた花火が、東京都の多摩川や日本三大花火大会の1つでもある秋田県の大曲で打ち上げられました。いけばなの美しさを花火で表現するために花火師の方々と何日も時間を掛けて構想を練り、一瞬の美を見事に魅せてくださいました。
花火用語では尾を引くものを菊、星のように点になって広がっていくものを牡丹(ぼたん)、パチパチと音を立てて弾けるような火を花雷(はならい)、カラフルな小花を散りばめて大輪を成すものを千輪菊(せんりんぎく)などと呼び、それぞれの花火に日本らしいすてきな名前が付いているのも粋な感じがして、花火の世界に魅了されてしまいそうです。
ほんの数秒の美しさが、瞬く間に次々と打ち上げられていく中で、それら花火玉の残像が1つになって心に刻まれることができたら、そこには感動が生まれるに違いないと思います。いけばなにもそのことに大変似ている点があり、自らがいけた花に自身の残像を映し込むことができたらすばらしいと思います。
花材の中に自身が溶け込み、花と響宴(きょうえん)することの楽しさを学べたら良いなと感じています。花火もいけばなも時代と共に進化し続けています。これからの時代に、私はいけばなにできることは何かを考えていきたいと思います。
Yoshimi
草月流華道講師。幼少の頃から花を嗜む。学生の頃、本格的に活動を始め大阪高島屋に出展。兵庫県議会公館迎え花を担当。シンガポール駐在中に趣味の油絵といけばな展をシンガポール高島屋で行う。現在はシドニーのセント・アイビスのスタジオで華道教室フラワー・イン・ライフ(www.7elements.me)を開講