オーストラリアで夢のマイホーム計画
第136回 最新の住宅市場動向
ACCCの調査
2016年8月から19年5月までずっと継続された1.5パーセントの政策金利が、この約5カ月間で0.75ポイント減少し、とうとう1パーセントを切り、現在0.75パーセントとなっています。政策金利が下がっても銀行がその下がり幅通りに住宅ローンの金利を下げないことに政府が強く抗議し、現在、ACCC(オーストラリア公正取引委員会)が銀行に対して調査を始めています。
オーストラリア住宅ローン市場は、ビッグ4と呼ばれる大手4大銀行が4割強を占めています。ロイヤル・コミッションで随分と叩かれたこの4大銀行、次のACCCの調査にどう対処するのでしょうか。
政策金利と住宅市場の相関性
日本と比べるとまだまだ高い住宅ローン金利ではありますが、しばらく続く低金利に住宅マーケットはどう反応しているのでしょうか。メディアは、今年の7月にANZ銀行から提供された資料を基に、政策金利が下がったころからの住宅価格の上昇を指摘しています。そして、落ち着いていた住宅価格が上昇した要因について、オーストラリア準備銀行の政策金利の減少の決定が関係していると批判しています。
査定用金利ルール廃止
しかし政策金利の減少だけが現在の住宅価格上昇の原因ではありません。8月の記事にお知らせした通り、融資査定用金利ルールが緩和されたことにより、融資枠が上昇したことも大きく影響しています。例えば1家庭の合計収入が約10万豪ドルの場合、融資枠が約6万ドル増加すると言われています。
ファースト・ホームを狙う若い世代にとっては、政策金利が1パーセントを切った今がまたとないチャンス。しかし預金利率もこれまでになく低いため、頭金をこれから貯蓄するのにも時間が掛かることでしょう。今の低金利の恩恵を受けるためには、「理想の」物件ではなくとも、購入を考慮することも「あり」かもしれません。
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住宅ローン・コンサルタント(MFAA正式会員)
Yon