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花のある生活「美しさの秘訣」

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 花のある生活─ flower in life ─

第24回:美しさの秘訣

高さのあるカラーの花をスッと立ち上がらせて、天高く伸びているような様子が凛(りん)として美しい。お稽古4年目の玲翠さんの作品
高さのあるカラーの花をスッと立ち上がらせて、天高く伸びているような様子が凛(りん)として美しい。お稽古4年目の玲翠さんの作品

こんにちは。いけばな講師をしていますYoshimiです。今年も残すところ後わずかとなりました。師走の12月を気忙しく過ごされていると思います。

今年は令和という時代が始まり、即位の礼やラグビー・ワールド・カップで日本は世界中からゲストを迎えて大忙しの1年でした。日本のおもてなしの精神や伝統とテクノロジーが、世界で高く評価されたと聞きました。日本人として、とてもうれしく感じます。

人をもてなすということは相手を思い、そして相手に寄り添うことではないかと私は思っています。また日本人特有の美しさの原点のようにも思います。茶道での所作の流麗さは息をのむほどに美しく、もてなされた者に安心と喜びを与えてくれます。華道の手習いもその道のもの、御花器に水を挿し、花を入れていくその行程も大切ではないでしょうか。1本1本と花を足していく所作の中で、花自身、我が我よと主張をし始めたら出来上がりの型はとてもうるさくざわついてしまいますが、先に入れた花材をサポートするように花を足していけば、出来上がりはとても美しいものになると私は思っています。基本の型では2種の花材で陰陽のバランスを取り、3種類目の花材を入れるところから気を付けられたら良いと思います。

蘭に乾燥したオクラレルカで柔らかな曲線を付けて、ゆったりくつろいだ雰囲気でいけています。同じく玲翠さんの作品
蘭に乾燥したオクラレルカで柔らかな曲線を付けて、ゆったりくつろいだ雰囲気でいけています。同じく玲翠さんの作品

書道や茶道、華道、他にも道という御稽古事に終わりはありません。一期一会で出合う花材や場所、側にいる仲間と共に語らい、意見を交わし喜び合うこと。そして客観的に自分自身を見つめることができた時に、技術と共にいけばなも成長を感じることができると思います。伝統的な日本の文化芸術には、日本人特有の美しさが盛り込まれているように思います。いけた花を見て、その場には見えない、いけ手の姿を想像できるような、ありのままの真っ直ぐな心意気を感じるような、そんないけばなと常に触れ合っていたいものだと思います。

本年も花のある生活−flower in life−を、ご愛読くださり誠にありがとうございました。令和2年も、皆様にとって幸多い1年となりますようお祈り申し上げます。


Yoshimi
草月流華道講師。幼少の頃から花を嗜む。学生の頃、本格的に活動を始め大阪高島屋に出展。兵庫県議会公館迎え花を担当。シンガポール駐在中に趣味の油絵といけばな展をシンガポール高島屋で行う。現在はシドニーのセント・アイビスのスタジオで華道教室フラワー・イン・ライフ(www.7elements.me)を開講

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