オーストラリアで夢のマイホーム計画
第137回 2019年住宅市場動向を振り返り
2019年も残すところ1カ月となりました。今回の記事ではこの1年を振り返ってみたいと思います。
16年8月から1.5のままずっと変わらなかった政策金利が、今年の6月から3回にわたり減少。1パーセントを切り、0.75と歴史的な低金利となっています。貯蓄から生まれる利子に頼って生活をする高齢者の方が、継続する低金利による影響を大きく受けていると言われます。
また、一旦は落ち着いた物件価格が上昇し始め、オーストラリア家庭の持つモーゲージ(ローン)の記録的な高さが問題視されています。高騰する物件価格に家庭が抱える負債を懸念し、メディアでも何度も取り上げられていました。
17年12月から始まったロイヤル・コミッションのレポートが今年の2月に発表されたことも、住宅ローンに大きな影響を与えました。ローンの審査が更に厳しくなり、以前なら銀行がこぞって早く本承認を出すという営業活動を行っていたのが、本承認が下りるまでの時間がどんどんと延長され、ブローカーである我々も非常に緊張したものです。
ロイヤル・コミッションの提言から、それぞれの家庭の経費を細かく聴取することが住宅ローン申請の必須事項ともなりましたし、しばらくの間オーストラリア健全性規制庁(APRA)が指示する査定用金利である7.25パーセントを融資枠の査定に利用しないといけなかったため、融資額が減額されたという暗黒の時期であったとも言えます。
7月にAPRAが査定用金利を緩和後、少しずつ融資枠が上昇しており、記事を書いている11月現在、銀行の緩和と共に物件価格も大幅に上昇を続けています。シドニー近郊インナー・ウエストに住んでいる私ですが、2週間前にオークションのプライス・ガイドが90万豪ドルであった物件が、1週間前にプライス・ガイドが外され、オークション当日では140万豪ドルで落札されています。若い世代がマイホームの夢を実現できないといった問題も、今後無視できないものになると思われます。
政治的にも経済的にも大きく影響を受ける住宅事情、2020年も皆さまに最新情報をお伝えできるよう努力して参ります。本年度も大変お世話になりました。2020年も皆さまにとってすばらしい年となりますようお祈り申し上げます。
XL Group
住宅ローン・コンサルタント(MFAA正式会員)
Yon