第161回 風祭り
ご機嫌いかがですか、れんです。
愛知県豊川市小坂井町の菟足(うたり)神社では、毎年4月の第2金・土・日曜日に春の例祭「風祭り」が開催されます。
菟足神社は第8代孝元天皇の末裔、菟上足尼命(うなかみすくねのみこと)を祭神として、飛鳥時代の686年(白鳳15年)に渡来系の秦石勝(はたいわかつ)によって創建された、長い歴史のある神社です。菟にちなみ、神紋を始めとして灯籠や瓦など至る所に兎が使われています。
時期や内容は地域によって異なりますが「風祭り」は日本各地に見られます。いずれも目的は「風害除け」です。
現在の生活では風を意識することが減ったかもしれませんが、昔は多くの人が農業や漁業など天候に左右される仕事に従事しており、害になる大風がなく、必要な風が上手く吹いてくれるようにと日常的に願っていました。
菟上足尼命は、穂の国の国造(くにのみやつこ)としての着任の際に、海の大荒れにもかかわらず無事到着したことから、風に強い霊験あらたかな神様として信仰を集めることになります。また、江戸から回送された神輿が遠州灘の風波の難に遭わずに平井の浜に辿り着いたというエピソードもあります。
菟足神社の風祭りはとても特徴的で、古くから人身御供(ひとみごくう)の由来伝承を持つ生贄(いけにえ)を供える祭として知られていました。
鎌倉時代前期に成立した宇治拾遺物語には、「三河の風祭では生贄に猪を生きたままおろす」と書かれています。
初めは人間の女子を犠牲にしていたのが後年に猪及び鹿、もしくは雀に代わったようです(現在は雀12羽)。
このコラムの著者
れん(書家/アーティスト)
アーティストとして永住権取得。作品“ふるさと”が国有財産として在豪日本国大使館蔵。豪・日・ドバイ・NZで作品展、大書ライブ、workshop多数。ハリウッド映画『The Wolverine』製作に参加。シドニー総領事表彰。元号“令和” (総領事館蔵)、日立豪 “協創”揮毫。豪五輪委員会で応援大書。書道教室。LINEスタンプ販売中。 Web: renclub.net / Email: renclub@gmail.com / 動画: youtube.com/user/renclub