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トゥシューズ、舞台に上がる十人十“足”/QLDバレエ団合々香と弘平のグランパドドゥ 第10回

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トゥシューズ、舞台に上がる十人十“足”

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ブリスベンの中心部「Roma Street Parkland」の噴水前での1枚(©David Kelly)

皆さん、こんにちは、QLDバレエ団の吉田合々香です。前回は“トゥシューズの歴史”についてお話ししました。トゥシューズは、同じ製品でも慣らし具合や状態の良し悪しによって、その日の舞台の出来を大きく左右することが珍しくありません。今回は、トゥシューズを本番までに、どう準備していくかをお話しします。

 新品のシューズが届いても、すぐには履けません。踊っている時に足と一体化するように、リボンとゴムを縫い付けなければならないからです。その後は、ダンサーそれぞれのこだわりで、自分のシューズを加工していきます。

 私はまず、爪先で立つ時に床に触れる靴の先端部分を太い糸でかがります。踊る度にサテン生地が擦れて破れるのを防ぎ、爪先立ちした時に靴が安定する感覚があるからです。更に、爪先立ちの際、靴底が土踏まずのアーチにぴったり添うように中敷きを2/3だけ残して切り取ります。

 他にも、汗や湿気でシューズが柔らかくならないよう先端部や中敷きにニスを塗る人もいます。こうした加工にじっくり時間を費やしてから、ようやく履く準備が整います。

 ただし、新品は足なじみが良くないので、何度か練習時に履いてから好みの硬さや感覚になるように慣らします。

 こうして大切な舞台の日までに、ベストな状態になった何足もの靴を本番用の候補として準備します。そして、その中から、当日の体の感覚や足の状態に合わせて、体の一部になり切れる究極の1足を選んでから舞台に上がります。

 “十人十色”ならぬ“十人十足”のトゥシューズが、バレエの舞台を支えているというお話、いかがでしたか。

このコラムの著者

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吉田合々香(よしだねねか)/QLDバレエ団プリンシパル・アーティスト

金沢市出身。欧州に4年間留学後、2014年QLDバレエ入団のためにブリスベンに移住。平日はバレエ漬け、週末はお菓子作りや居心地の良いカフェでの時間を楽しむ。リラックス方法はおいしい和食を食べ、お風呂に浸かり、アロマを焚いてぐっすり眠ること。好きな映画は『ジュリエットからの手紙』。

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