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秋色に染まる古町リッチモンド/タスマニア巡り

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第16回 秋色に染まる古町リッチモンド

秋を感じるリッチモンド・ブリッジとセント・ジョン教会

 あちらこちらで黄葉が落ち始め、早い冬の到来を告げ始める5月。今回はそんな秋を感じられる町、リッチモンドをご紹介しましょう。

 ホバートから車で20分ほど北上すると着くこの町の開発が始まったのは1820年代。もともとは北/東への移動の要所として、後に囚人の移動を管理する役割を果たしました。今でも入植時代の面影が色濃く感じられ、数多く残る建造物の大半が当時の囚人の手で建設されました。

 入植初期に開発が始まったため、州内はもちろん国内でも有数の歴史ある町として知られ、国内最古の建造物が数多く残されています。

 最も有名なのは国内最古と言われる1823年建造のリッチモンド・ブリッジ。町の北、コール・リバーをまたぐ6連アーチの砂岩でできた橋です。この橋を渡り、小高い丘の上に見えるのがセント・ジョン教会。36年に建造され、ローマン・カソリックで最古と言われています。

 町の東にあるセント・ルーク教会は36年に完成した国内最初のアングリカン・チャーチです。目印の時計塔の針は有志の手によって維持され、現在も変わらず時を刻み続けています。

 当時の要所であり、裁判所や、国内最古の監獄、リッチモンド刑務所も25年に建てられました。こうして見ると豪州で最も古いというものが町のそこかしこに。入植時代の雰囲気を感じられるのも当然のことなのかもしれません。

 とは言え、リッチモンドの町自体は大きくなく、上記の建物を全て廻っても徒歩で30 分、ゆっくりと見ても1時間程度です。ショップやカフェなどもあるのでくつろぐのも良いでしょう。

リッチモンドまでのコール・リバー・バレー沿いはワインの産地でもあるため、数多くのセラーが点在しています。チーズ専門店や果樹園もあり、1日かけて楽しめるはずです。

 年間を通して楽しめますが、お薦めは秋。町と共に時を刻んできた街路樹が秋色に染まる中での散策は、より一層この町の歴史を感じさせてくれます。

このコラムの著者

稲田 正人

稲田 正人

タスマニアのツアー・ガイド/コーディネーター。タスマニア大学で動物学・環境学を学んだ後、のんびりゆったりした生活感に魅せられ、そのままタスマニアに在住。現在は現地旅行会社AJPR(Web: www.ajpr.com.au)に勤務する傍ら、多過ぎる趣味に追われる日々を満喫中。

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