日本でどんどん進化を遂げ、もはやひと言では語り尽くせない食となったラーメン。オーストラリアにもその波はしっかりとやってきているらしい。今年も編集部がシドニーの名店の味をしっかりと味わい、その魅力を伝える時期がやってきたようだ。昨年から大きく変化しているスープだけでなく、製麺工場の潜入取材で分かったラーメン業界の麺事情など、ラーメン好きもそうでない人も、今後ラーメン屋に足を運ぶ前にぜひとも参考にしてほしい。 (編集部)
シドニーの人気ラーメン店一覧 | 製麺工場へ潜入! | あなたの好きなラーメンは?
葱味噌らーめん($13)
来豪客に「日本のらーめんよりも美味しい!」と言わせた一品。20キロの鶏骨をじっくり煮詰めてダシをとっているスープは、あっさりとしているのに深いコクがある。先代から変わらぬ製法を受け継ぐ焼き豚もスープの味を引き立てている
編集部R(♀)豪快に盛られた葱と焼き豚に似合わない上品なスープの味に驚かされる。スープの辛さは調節可能なので、毎回レベルを変えて楽しむのも良いかも。太切り葱には甘みがあり、ほかの葱らーめんは苦手だと言う人でもぺろりと食べられる美味しさ。また驚くほど臭みも無く、食後に誰かと会う約束があっても問題なしだ◎
編集部K(♂)30年間変わらない東京ラーメンのスープは、香ばしいネギの香りとスパイスの効いた、鶏がらのあっさりとしたスープ。インパクトのある見た目だが、一度口に運ぶと最後まで飲みきりたくなる。通な食べ方は、麺が無くなった後にスープにご飯を入れることだそう。男性でも十分に満足できるボリュームだ。
東京ラーメン Tokyo noodle
■住所:ブラック・タウン店/Shop 3038, Westpoint Shopping Centre, Blacktown、ホーンズビー店/Shop 1042, Westfield Shopping Centre, Hornsby、セントラルコースト店/Shop T340 Terrigal Drive Erina, Erina Fair、マッコーリ店/Waterloo Rd. ダイソー前 ■営業時間:各店舗により異なる
まかないラーメン($14.50)
スープはとんこつ・醤油・味噌の3種類から選べて、9種類の具材がトッピング。この味、このボリューム、この値段は絶対にお得。
編集部U(♂)オススメはやはり「まかないラーメン」。あっさりめのとんこつスープにメンマやチャーシューなどの具が9種類もついている。自分が特に感動した具はからあげ。ジューシーでサクサクの食感がとんこつスープとマッチしていて意外と癖になる。スープもとんこつ・醤油・味噌の3種類から選べるのが嬉しい。
編集部N(♀)個人的には「煮干醤油ラーメン」がかなり高ポイント。魚介からじっくりとダシをとったスープは、軽い口当たりなのに味がしっかりとしていて、麺を食べ終わった後も名残惜しく何度もすすってしまう。特に日本人から好評で、期間限定からレギュラーに昇格予定というのも頷ける。ラーメン好きにお薦めの一品。
まかない MAKANAI
■Tel:(02)9419-4817 ■住所:Shop 223a, Westfield, Chatswood ■営業時間:毎日11:30AM〜9:30PM(ラスト・オーダー) ■Web:www.makanai.com.au
つけ麺オリジナル($12.90)
濃厚なとんこつに自家製太麺がよく絡む自信の一品。刻んだチャーシューや高菜・キャベツ・もやしなどの具材がたっぷり入ったスープは食べ応え抜群。豚骨ベースのオリジナル以外にも、魚介だしを加えた魚介つけ麺やカレーつけ麺もある
編集部N(♀)クオリティーの高さ、価格の手ごろさ、立地のよさなどリピートしたくなる要素が満載。スープや具材はもちろんだが、何より自家製にこだわっているという麺の美味しさが際立っていて、そのおかげかどのメニューを選んでもハズレがない安定感。あっさり豚骨醤油の野菜盛りに、具が隙間なくみっちりと詰まった自家製焼き餃子のセットが女性にはお薦め。
編集部U(♂)じっくり手間暇かけて作ったとんこつスープはやっぱり美味しい。余計なものを加えず本来のとんこつの味がラーメンでもつけ麺でも味わえる。また、つけ麺と言ったらやはり魚介系。とんこつと魚介スープが絶妙にマッチする。ボリュームたっぷりの麺を食べ終わったら、ぜひ無料のスープ割りもオーダーしよう。
ラーメン ずんど Ramen Zundo
■所在地:Shop 10.30 World Square 644 George St., Sydney NSW ■営業時間:毎日11:45AM〜9PM ■Web:ramenzundo.com.au ■Tel:(02)9264-6113
塩バターラーメン($12)
和風魚介だしは旨味がたっぷり出ていながらも塩味であっさりしていて食べ飽きない。コーンやきくらげ、メンマなどの豊富な具材がスープと絶妙に合う。実は従業員のまかない一番人気メニューだそうだ。
編集部U(♂)シドニーで塩ラーメンを食べられる数少ない店。和風魚介の一番だしを使ったスープとバターが絶妙に合う。あっさりしていながらも、魚介の旨味がたっぷり出ていて思わずスープを飲み干してしまった。具材もチャーシュー、もやし、のりなどの定番からバターと相性のいいコーンまで入っている嬉しい一品。
編集部N(♀)個人的には味噌ラーメンがお薦め。やわらかいチャーシューと、熱々のスープが冬場に嬉しい。すべてのラーメンに3ドル追加で自家製餃子とサラダがセットでつくので、これは必ず頼むべき。また、5種類のおかずがついたお得なランチ弁当($10〜)や、豚骨スープを作る際に余るトントロを使ったしょうが焼きなどラーメン以外も見逃せない。
まんまるや Manmaruya
■住所:20 Ormonde Pde., Hurstville NSW/193 Beamish St., Campsie NSW/217 Liverpool Rd., Ashfield NSW ■Tel: (02)9799-6889(アッシュフィールド店)■営業時間:ランチ11:30AM〜15PM、ディナー17:30PM〜21:30PM ■Web: www.manmaruya.com.au
坦々麺($13)
濃厚なごまの旨味と麺、具材が最高にマッチする1品。こだわりの自家製麺としっかり絡めて食べたい
編集部U(♂)一番人気の担々麺はあっさりしていながらも、ごまの味と香りがしっかりとしていて美味。挽き肉やネギなどの具材も本当に美味しく、スープとの相性も抜群。また、同ビル地下にあるエクスプレス店では、あらゆるラーメンがさらに安い価格でテイク・アウェイできるのが嬉しい。
一番星 ICHIBANBOSHI
【シドニー】■住所:Level 2(CBD店)Shop 8, Lower Ground(一番星エクスプレス店), The Galeries, 500 George St., Sydney NSW ■Tel: (02)9262-7677 (CBD店)/(02)9264-7780(一番星エクスプレス店) 【ボンダイ】■住所:Shop 1, 171-173 Oxford St., Bondi Junction NSW ■Tel: (02)9369-3980
ゴマかららーめん($8.50)
スープは日本とアジア諸国の赤白味噌をブレンドしたオリジナル。たっぷり入った白ごま、練りごまの香ばしい香りが食欲をそそる
編集部R(♀)重たい味噌味が苦手な人にもお薦めの飽きのこないあっさりしたピリ辛スープが印象的。ほどよく油ののった厚切りチャーシューも美味。注文から提供までわずか2〜3分という速さもテイクアウトに力を入れる同店だからできる技。おかげで新鮮な野菜の食感を最後まで楽しめる。
もみじ Momiji
■住所:Basement, Shop BE, 303 Pitt St., Sydney ■Tel: (02)9283-3835 ■営業時間:月〜金11AM〜5PM(3PM〜5PMは、ハッピー・アワー・メニューのみ)、土・日休
がら醤油($11.90)
鶏がらベースでありながら、かえしにたっぷりと魚介の出汁を使っていることから、後に深いコクの残る旨味あるスープが印象的
編集部R(♀)丹精に仕込まれた自慢のチャーシューは、良質・柔らか・旨いの三拍子! 口の中でとろける感覚がたまらない。スープは飽きるどころか止められず、気付けば最後まで飲み干していた。具材だけでなく、器から店の装飾まで「made in Japan」というこだわりを楽しめるのも同店の魅力だ。
麺処 万福 Manpuku
■住所:482 Anzac Pde., Kingsford NSW ■Tel: (02)9662-1236 ■営業時間:11:30AM〜9:30PM、定休日なし ■Web: www.facebook.com/manpukusydney
ねぎ味噌ラーメン($12)
昔ながらの味噌ラーメンが食べたいならこのお店。甘くてまろやかな味噌にピリ辛のチリ・ペーストとオイルを混ぜればなおうまい。
編集部U(♂)まろやかな味噌をベースにした懐かしい味のするラーメン。チリ・ペーストとチリ・オイルをスープと混ぜればピリ辛になりさらにうまい。ネギがたっぷり乗っていてヘルシー。注文を受けてから具材を炒めるので、スープとのからみも良く、作り立てが食べられるところがこだわりポイント。
ラーメン San San Ramen San San
■所在地:Shop 1, Crows Nest Plaza, 103 Willoughby Rd., Crows Nest ■Tel/Fax: (02)9906-2956 ■営業時間:火〜金ランチ12PM〜3PM、ディナー5:30PM〜9PM、土ランチ12PM〜3:30PM、ディナー5:30PM〜9PM、日ランチ12PM〜3:30PM、ディナー5:30PM〜8:30PM、月・祝休
ピリ辛牛タンラーメン($13.50)
じっくりと時間をかけて煮込んだ牛タンは舌を唸らす絶品。辛くてもコクがあるスープは汗を流しながらでも飲み干したくなる
編集部K(♂)時間をかけてじっくりと煮込んだ牛タンはとても柔らかくて口に入れた瞬間に感動した。辛いだけでなくコクがあり、黒ゴマが入ることで香ばしさも感じられるスープは、最後まで美味しく飲み干せる。気さくで明るい店長の、何度も改良を重ねた努力とこだわりが表れた逸品!
恩の居 On Ramen
■住所:Shop 4, 181−187 Haymarket St., Haymarket ■営業時間:毎日11AM〜10PM ■Tel:(02)9211-6663
角煮とんこつ($10.80)
口の中でとろける各煮が入ったとんこつラーメン。豚×豚に、マー油が加わり、さっぱりまろやかな口当たり。
編集部M(♀)角煮と聞いて「重いかな?」と思ったが、マー油が効いていて意外とさっぱり! 一気に食べきってしまった。実に美味。スープと麺も改良されて一段と磨きがかかっている。最近、ミルクと野菜たっぷりのベジタリアン・ラーメンも新登場。11月にオープンするチャッツウッド店も見逃せない。
博多ん丸ラーメン Hakata-Maru Ramen
■住所:Shop 3, Level 3, Market City, 9-13 Hay St., Haymarket NSW ■Tel: (02)9281-6648 ■営業時間:毎日10:30AM~8PM ■Web: www.facebook.com/Hakatamaru
知って得する?ラーメン豆知識
ここでは誰かに話したくなるようなちょっとしたラーメンにまつわる豆知識をご紹介。中国の麺料理だったラーメンが日本に登場したのはいつのことなのか? 何味のラーメンが最初だったのか? そんな歴史や変化を思い起こしながらラーメンをすするのも、また格別かもしれない。(編集部RM調べ)
ラーメンの語源
中国では1,000年以上も前の唐の時代(618〜907年)に誕生したラーメンだが、日本に普及したのは、わずか120年ほど前の明治時代のこと。当時、中国人がラーメンの元となる「支那そば」を持ち込んだのが始まりとされる。日本語で「麺」というと「小麦やそばなどの粉を練って細くしたもの」を表すが、中国語ではもともと「小麦粉」を指す言葉だったよう。そして、細長い麺は「麺條」という言葉で言い表していたのだとか。その「麺條」を作りの過程で、水で練った小麦粉を1本の紐状にし、それを延ばしてふたつに重ねる作業を繰り返す方法が「拉麺」と呼ばれるものであった。これが、今のラーメンの語源と言われている。
ラーメンの栄養価
ラーメン一杯の栄養価は具材によって異なる。例えばシンプルな「醤油ラーメン」で、具に焼豚、メンマ、なるとの入ったものだと約500〜600キロカロリー。これは「たらこスパゲッティー」と同じくらい。逆に「焼きそば」のように油を使って炒める麺になると700キロカロリー台となる。これはハンバーグ&ライス、ステーキ、カツ丼クラスだ。ラーメンの場合は、スープを全部飲むか飲まないかによっても摂取カロリーは違ってくるが、実のところラーメンはそれほどカロリーの多いメニューとは言えないようだ。よくラーメンを食べて太ったという人がいるが、ほかの食事や生活習慣自体も見直す必要があるのかもしれない。
ラーメンの元祖は塩ラーメン
明治の初めに伝わった麺食は、中華料理のメニューの最後に口直しに食べる「支那そば」だった。鶏ガラでダシを取ったスープに麺が浮いているだけのもので、味は塩。日本では天武天皇の時代に「殺生禁止の令」が出てから江戸時代まで、動物系の肉を食べる習慣がほとんどなく、明治時代になってようやく文明開化で肉食を受け入れるようになった。そのため、動物系のダシで取った塩味のスープに庶民の口には慣れなかったという。そこで、塩味に代わって臭みのない醤油味が登場したと言われている。
世界のラーメンの仲間たち
【朝鮮半島】北部で発達した「冷麺」が有名。現在は小麦粉を材料にした切り麺は、もともとは蕎麦粉で作られていた。このほか「チャジャンミョン」(中華麺)は、韓国の国民食と呼ばれている。
【シルクロードの国々】漢族がウイグル族に伝え、さらにウズベク族を経由して伝わったという。中国のものと同じ小麦粉の麺で「ラグマン」と呼ばれている。箸を使わない文化なので短くカットしてスプーンで具やスープと一緒に食べる。スープは牛、羊の肉のついた骨から取る。
【ブータン】伝統料理となっているそばをはじめ、小麦粉で作られた「トゥクパ」と呼ばれる麺食もある。チベットのダライ・ラマ14世がインドへ亡命した時、ブータンに逃れた難民がもたらしたと言われる。ゆで汁と麺を丼に入れ、塩やトウガラシで味付けしたもの。
【タイ】麺文化は中国雲南省方面から伝わったものと、中国南東部から海路を伝わったものがある。米粉(ビーフン)、小麦粉、緑豆などを原料とし、麺の種類も豊富。スープは醤油味とナンプラー味が主流で、材料は鶏や豚の骨、調味料にナンプラーやニンニク油などが使われる。
【マレーシア】中華系が多いマレーシアでも麺文化は一般的。小麦粉で作られるミー 、細いミースア、揚げたイーミン、米で作られるミーフン(ビーフン)、クイティオ 、緑豆などで作るランカなど麺類の種類が豊富で、味付けや調理法もさまざま。
他にも注目店がたくさん! Sydney Ramen Directory
Ramen Ikkyu | Shop F1A, Sussex Centre Food Court, 401 Sussex St., Haymarket | (02)9281-0998 |
Ichimaru Japanese Ramen Noodle Restaurant | 226 Victoria Ave., Chatswood | (02)9411-2256 |
Ichibandori | Shop 4, 81-91 Military Rd., Neutral Bay | (02)9953-5422 |
Fujiyama Noodles Bar | Level 2, Mandarin Centre, 65 Albert Ave., Chatswood | (02)9904-8260 |
Gamushara | Shop 211, Harbour Plaza, 25-29 Dixon St., Haymarket | 0410-253-180 |
Genki | Shop 6, Wilikes Ave., Artarmon | (02)9410-3777 |
Goshu Ramen Tei | Shop 2, 5 York St., Sydney | (02)9290-3745 |
Komachi | 426 Cleveland St., Surry Hills | (02)9319-6554 |
Menya | ||
(Chinatown) | Shop TG8, 8 Quay St., Haymarket | (02)9212-1020 |
(City) | Shop 2, 1 Market St., Sydney | (02)9967-4649 |
Ramen Condor | Shop 1, 5 York St., Sydney | (02)9299-8686 |
Ryotei | 125 Falcon St., Crows Nest | (02)9955-0225 |
Tamageta ya | Shop 3, 197 Military Rd., Neutral Bay | (02)9953-6678 |
Ramen kan | Level 1, 90 Hay St., Haymarket | (02)9953-6678 |
Tanpopo | Shop 3, 81 Military Rd., Neutral Bay | (02)9908-4280 |
Tenkomori | Regent Place, 501 George St., Sydney | (02)9266-0660 |
Tokyo Roll | Berry Square Food Court, 77 Berry St., North Sydney | (02)9436-3268 |
Ton Ton | Level 1, Chifley Plaza, 2 Chifley Square, Sydney | (02)9222-1010 |
Zenya | 217 Rowe St., Eastwood | (02)9874-2122 |
Ippudo | Shop 5021, Westfield Sydney, 188 Pitt St., Sydney | (02)8078-7020 |
Tonkotsu Ya | Level 2, Mandarin Centre, 65 Albert Ave., Chatswood | (02)9411-2670 |
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