
岩戸あつしの
今さら聞けないIT用語
分かっているようで、実はよく分からないものが多いITワードを岩戸あつしさんが分かりやすく解説してくれる。
第3回 「ログオン/ログイン」
ログオンとログインでどう違うのか?
普段何も気にしないで使っているログオンとログイン。あなたがウィンドウズを立ち上げた時はどちらか覚えているでしょうか? 答えはログオンです。ではログオンとログインで何か違いはあるのでしょうか? 私自身、とても気になったので今回自分で調べた上で、さらに何人かのI Tの専門家にも聞いてみました。
さまざまな説が出てきたのですが、例えば機械そのものを立ち上げた時はスイッチ・オンという感じでログオンを使い、アプリケーションやインターネットのサイトなど、既に立ち上がったコンピュータからどこかのアカウントに入る場合はログインという説。ウィンドウズ系ではログオンを使い、ユニックス系はログインを伝統的に使うという説もありました。
そこでハタと思いついたのが、オーストラリアにある4大銀行のインターネット・バンキングはどうなっているかを調べてみると、面白い結果となりました。ANZとコモンウエルス銀行はログオン、NABはログイン、ウエストパックはどちらでもなくサインインという用語を使っていました。
これから想像するに、起源はどうであれ、今はどちらでもよくなったのではないかと考えます。またログオンした時の終了時はログオフで、ログインはログアウトになるのが常識ですが、不思議なことにANZは、ログオンしてログアウトします。
ログオン(ログイン)の目的
ほとんどのログオンは、ログオン名とパスワードの2つで構成されています。通常ログオン名はユーザーを識別することが目的なので、ユーザー名、ユーザー・アカウントとも呼ばれています。
ログオンではまずユーザー名によって使用する人を指定します。次にパスワードを入れることによってそのユーザーが本当のユーザーであるかどうかを判断します。ユーザー名が個人名ではなく会社名であったり、グループ名であったりする場合もありますが、基本は個人名です。
システムが大きくなるほど、ソフトウエアのライセンスをユーザー数によって管理するためユーザー名は個人名にする必要があるためです。また最近はユーザー名にメール・アドレスを使うケースも増えています。メール・アドレスだと個人が特定しやすく、ユーザー自身がユーザー名を忘れることがなく、パスワードを忘れた時などでも、最低ユーザー名が分かっていますので、ユーザー名であるメールアドレスにパスワードを送ってもらうことができます。
プロバイダ側としても、ユーザー名がメール・アドレスの方が本人確認を容易にできるというメリットがあります。
イベント・ビュアー
ログという言葉はもともと航海日誌を付けることから由来しており、ログオンやログオフしたユーザー名、時間、仕事内容などが記録されます。
その内容は「コントロール・パネル」「管理ツール」の中にある「イベント・ビュアー」で確認することができます。特にエラーが起こった時は、このインベント・ビュアーにエラー内容が書き込まれており、トラブル解決の糸口になります。
イベント・ビュアーに対しさらに設定をすることによってインターネット・エクスプローラーやほかのアプリケーションの履歴を取ることも可能なので、仕事中に仕事以外のものを閲覧していた場合は証拠として履歴が残りますのでご注意を。

キャプチャ
上のような文字を見たことのある人も少なくないと思いますが、このバランスの崩れた奇妙な文字の正体をご存じでしょうか? この文字はC A P T C H A(キャプチャ)と呼ばれ、目的はアカウント登録者が人間か機械かを区別するための仕掛けです。
ホットメールやグーグルメールなどの登録で、個人や会社がコンピュータを使って自動的に大量登録しようとする試みを防ぐためにスキャナーでは読み取れない、人間にしか分からない文字を表示させて登録者が人間であることを確認しているのです。

岩戸あつし <著者プロフィル>
大学院卒業後、貿易会社を経て、コンピュータ・エンジニアとして活躍。日経CG などへの執筆、PCショーの講師を勤める。1992年、オーストラリアに移住。1994年シドニーにジャパン・コンピュータ・ネットを設立、主にシドニー在住の日本人、日本企業にコンピュータ・サービスを開始する。現在同代表取締役社長。