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オーストラリアのこと、何て略す?─オーストラリア弁(新方言)を探せ 第4回

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 オーストラリア在住の日本人が最もよく使う言葉の1つは、やはり自分たちの住んでいる「オーストラリア」という国の名前だろう。「オーストラリアってどうしてこうなの!? 」と日本との違いに不満を感じたり、「さすがオーストラリアだね」とこの国に来て良かったと感じたりすることを、こちらの日本人同士で話し合うことも多いはずだ。

 日常生活でよく使われる言葉は、自然と略語になりやすい。英語の書き言葉では「AU」と2文字、または「AUS」と3文字に省略される。「Oz」と書き表すこともある。会話では「オズ」またはオーストラリアなまりで「Straya(ストラーィヤ)」と言うオージーも多い。

 調査してみると、こちらに住む日本人には「オース」という略語を使っている人がかなりいた。英語の書き言葉では「AUS」と省略されることが多いのもその理由の1つだろう。ただし、英語圏ではAUSと書いてオズと読む。オズという短く便利な言葉が既に存在しているのに、日本人は「オーストラリア」の最初の3文字を残して省略した「オース」という言葉を使い始めたのだ。

 こういった、最初の2~4拍の音だけを残して使う略語は、日本語の短縮語に最も多いパターンだ。「アポイントメント」が「アポ」になり、「アイスクリーム」は「アイス」、「スーパーマーケット」は「スーパー」となる。

 また、少数ではあるが「オーストラリア」を「ラリア」と略している日本人もいるようだ。こちらは、最後の3拍の音を残す省略形となる。「アルバイト」が「バイト」となり、「ルイヴィトン」が「ヴィトン」になる、若者言葉に多いパターンだ。

 英語をカタカナ語として取り入れる時、元の英語とは少々違う言葉になってしまうことがある。例えば日本では「featuring」を「フィーチャリング」ではなく慣れ親しんだ「future(フューチャー)」の音に引きずられた「フューチャリング」として使用する人は、実は「フィーチャリング」を使う人よりも多い。これを間違った言葉だと指摘する人もいるが、私はそうは思わない。多くの人が使うようになった時点で、その言葉はもう、日本語として使いやすいように工夫され、受け入れられた日本の言葉なのだ。「オース」も、英語では「AUS(オズ)」なのに在豪日本人が間違って使用しているのではなく、日本人が慣れ親しんだ短縮語のパターンを使って工夫した、日本語の新語なのである。

 

プロフィル

ランス陽子

フォトグラファー/ライター、博士(美術)。現在、グリフィス大学の大学院でオーストラリアの日本人コミュニティーにおける日本語変種を研究中。ゴールドコーストでの調査を手始めに、今後はオーストラリア各地での調査を予定している。在豪日本人が使用している面白い言葉についての情報を募集中。情報やメッセージはFBコメント欄かFBメッセージまで。「ゴールドコースト弁を探せ!プロジェクト」
(Web:www.facebook.com/ゴールドコースト弁を探せプロジェクト

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