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3Dアートの世界へようこそ /花のある生活 – flower in life –

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花器は棒状の鉄を編むように溶接されたものです。モンステラの葉をひねるように投入し緑の濃淡を出して、影も作品の一部としています

第47回 3Dアートの世界へようこそ

 いけばなは絵画、彫刻、音楽の要素を兼ね備えた立体的な造形物と言われています。また、2次元的な平面要素を持つ絵画や写真の表現とは違い、3次元的な奥行きのある表現であることが特徴です。3Dの「D」は「dimensions」の頭文字で、「次元」という意味を持ちます。ここに書かれた3次元とは立体的な空間のことを指しています。

 今季の作品は、台の上に花器を置いて花をいけることから飛躍し、壁に掛けるいけばなという発想に転換してみました。絵画のように壁に掛けられていますが、生きた植物が壁から飛び出してくるような感じと、グッと迫ってくるような感覚は視覚に刺激を与え、印象的だと思われます。生花であるため、見えない所に水差しを忍ばせる点は、ちょっとした技術が必要になります。

 いけばなを教え始めたころは、当時の私と同様に小さなお子様がいらっしゃる生徒さんが多く、よくある質問の中で際立っていたのが「子どもが花瓶をいたずらして倒してしまったり、花材を食べてしまったりするので、手の届く所にいけばなを置けないです。高い所に置くのは落下する可能性を考えると危ないように感じます」ということ。その際に壁作品のワークショップを開催し、「邪魔にならないし、奇麗で癒されます」と喜んで頂けたことが記憶にあります。

 当連載「第5回 花をどこにいける」のコラムでも触れておりますが、花をいける場所をいつもと変えることで新鮮な気持ちになり、気分転換にもなります。普段と違うファッションを楽しんだり、毎日のお料理に変化を付けるのと同じように、いけばなへのひと工夫は独創的な3Dアート作品です。

 床面に置くと重厚感のある椰子の苞も、壁に掛けると鳥が翼を広げてフワッと舞い上がる感じがしませんか。日常の中でご自身の想いを表現できることは、生活に潤いが得られるように思います。植物から瑞々しい息吹を肌で感じられるいけばなアートの世界へは、どなたでも入って頂くことができるが、いつでも開かれております。

Yoshimi

いけばな作家
Web: https://www.7elements.me/

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