22年に入り、コロナ禍からの経済復興が顕著な豪州。政府は現在、21年の史上最大の不動産価格急騰を受け、この5月に法定金利を上げ、これ以上の過熱を防ぐための価格抑制対策を行っているほどです。では、これをきっかけに、日本で起こったバブル崩壊のような大規模な不動産価格の暴落が起こるのでしょうか?
過去の法定金利動向について
コロナ禍による経済対策として下げられた豪州の法定金利は、もともとは現在のように低くはありませんでした。以前の水準まで金利を急激に戻すことは経済的混乱を避けるために考えにくく、また、緩やかに以前の水準まで戻るか否かも国際情勢や今後の経済に大きく左右されます。つまり「コロナ禍以前と比較すれば金利はなお低く、即以前の状況にはならない」というのが客観的な推測と言えるでしょう。
また、銀行など金融機関の融資利子も、法定金利の流れをくむとは言え、各機関同様ではなく、低い金利に抑えたままの機関もあります。
不動産価格上昇の条件となる3要素
現在は、一般的に知られている以下の不動産価格上昇の3要因全てがそろっている状況です。
・インフレーション
・海外からの移民、来豪者の増加による人口増
・収入の増加
新政権の下で物価がどう推移していくか冷静に見極める必要はありますが(前政権時代のインフレ率予測は5%)、傾向としては物価の上昇に伴い自ずと不動産価格も上昇します。
また、コロナ禍での各種規制の緩和が続く豪州では、2月中旬以降、海外からの来豪者数が増加。就学を中断していた留学生や海外からの観光客、ビジネス関連での渡航も再開し、今後も更に増えていくことが予測されています。
収入についてはかつてとは異なる理由で増加しています。失業率も現在4%と低率。農業や飲食業、建設業など幅広い産業において、学生やワーキング・ホリデー・メーカーなどコロナ禍以前に頼っていた海外からの若い労働力が不足。その分、国内の労働力の需要が高まり、全体として賃金増加者が実質多くなっています。
不動産価格は急落?上昇?
結論としては、不動産価格の下落要因も上昇要因も存在するのが豪州の現状と言えます。今後も豪州不動産の動向から目が離せませんね。
このコラムの著者
鶴美枝
グローバル・インテリジェンス・マネージメント代表。創業2010年以来、豪州各地の優良不動産を厳選し、豪州及び日本在住のホーム・オーナー若しくは投資家の方々の購入をサポートし資産増幅、理想の住まいの確保に日々尽力中。日本と豪州にて法学部大学院卒業。豪州不動産フルライセンス保持。