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英語学校「ベルリッツ」の英語力診断に行ってみた

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ベルリッツでは経験豊富な講師陣が個人のレベルとニーズに合わせてマンツーマンで丁寧に指導してくれる

編集部BBKの突撃レポート
不定期連載第13回

ビジネス・マンに人気の英語学校
「ベルリッツ」の英語力診断に行ってみた

─いまだ自信を持てぬしょぼい英語力を引っさげて─

2年4カ月前、家から家具から何から何まで日本にあるものすべてを処分し、もはや逃げ道のない状態でシドニーの空港に降り立った僕が最初にしたことはカフェに入ることだった。10数年越しの計画を遂に実現した興奮とともに、これから始まる新生活への期待と不安をとりあえずすべてひっくるめてコーヒーを飲みながらかみ締めようというわけだ。まさに万感の思いというやつだ。

カフェのカウンターでコーヒーをくれというと何のコーヒーかと聞かれる。いや、ほとんどまともに英語ができなかった当時の僕にとってそれは「何の種類のコーヒーかと聞かれているにちがいない」という憶測に過ぎなかったが、とにかくカプチーノを頼んだ。できあがったら名前を呼ぶと言われ(たのだろう)、下の名前を告げる。しかしだ。何度言っても聞き取ってくれない。僕の名前にはZが入っているのだが、それをうまく発音できないためだ。なんとか分かってもらった後、僕はやれやれと席に着く。まあいい、2年もすれば英語なんてペラペラになってこんな体験も笑い飛ばせるようになるさ。そう考えていた。

あれから、2年4カ月。僕の名前がまともにカップに書かれたのは多分2回だ。毎度言い方を工夫するが、その都度違う解釈をされる。KがCになっていたり、UがOOになっていたり。時には過剰に発音したZのみしか合っていないこともある。いっそ、イングリッシュ・ネームを作ろうかとも考えたがそれもなんだか悔しくてまだ実行していない。

これでも一応自分なりに頑張ってはきたのだ。車を運転する時はラジオに耳を澄まし、テレビもローカルの番組を積極的に見るようにしている。スマホにはローカル同士の会話が収録されたアプリを入れ通勤時毎朝聞くようにしている。それでもいまだ自信を持てない。オフィスが日本語環境というのもきっと大きい。ああ、いつか本当に何のストレスもなく、仕事でもバリバリ英語を使える日が来るのだろうか。

といった具合でなかなか伸びぬ英語力に時に暗澹たる思いを抱いていたが、いよいよ本当にどうにかしなければならないタイミングが訪れた。社内での立場が(ありがたいことに)上がったのだが、それによって僕自身がローカルの企業と直接コミュニケーションを取らねばならぬ機会が間違いなく増えるからだ。というわけで、僕はいよいよ本腰を入れて英語の勉強に再チャレンジをしようと思ったのである。

僕の英語学習経験について

体験を織り交ぜるタイプのコラムは「リアル」であるほど面白く、かっこつけるとつまらなくなるので、これまでもちょいちょい妻との喧嘩や身内の話を包み隠さず織り交ぜてきた。とはいえ、自分の能力関連の話になるとさすがにちょっとためらいたくもなる。が、それもまあ今さらだ。正直ベースで書いていこう。

かつて大学受験の科目としての英語は比較的得意で自信を持っていたのだが、それも初めて海外旅行に行った際、あえなく打ち砕かれた。旅先で訪れたマクドナルドでコーヒーを頼んだのだが、なぜかクッキーが出てきたのだ。自分の発音の悪さゆえの間違いというのが何となく気恥ずかしく、さも最初からクッキーを頼んだのだという空気で商品を受け取ったことを思い出す。その時、僕は勉強としての英語と実用英語は全く違うものだと思い知らされた。

来豪後、最初の半年間は語学学校に通った。1クラス10〜20人近くのジェネラル・イングリッシュ・クラスで、スタート時Lower Intermediateだったレベルは卒業時にはAdvancedまで上がり、表向きには上達した形で終えた。しかし、座学の強さでレベルを上げた感のある僕にとって会話は引き続き苦手意識を持ったままであった。事実、最後にAdvancedに上がったとはいえ、直前のUpper Intermediateクラスでもたくみに会話を操るブラジル人生徒とのやり取りがうまく行かず困惑していたことを思い出す。

同校も講師陣は信頼のおける人たちであったし、それなりに楽しく過ごした。だが、多くの語学学校の例に漏れず、こちらの大学への進学を目指す若者、短期留学の学生、ワーホリ・メーカーなど、僕の年齢からしたらだいぶ若い生徒がほとんだだった。学校には日本人も少なくなかったが、同年代の男性には最後まで1人も出会うことがなかった。30代も半ばになった段階で、日本の仕事を辞めて海外に来るような男など日本にはあまりいないのだろう(余談だが、年齢差5〜6歳と比較的近い年代の日本人は全員女性だったため、時に僕は30歳前後の女性たち数人に混じってアフタヌーン・ティーを共に楽しむという稀有な体験もした)。

日常会話で英語力を判定

改めて英語の勉強をするにあたり、まずは自分の現在地を測りたいと考え、ビジネスマンや主婦など、比較的年齢の高い層に人気のベルリッツに白羽の矢を立てることにした。世界的に名を知られる語学学校であることに加え、無料で英語力チェック&体験レッスンを受けられると聞いたからだ。


プログラム・アドバイザーの勅使川原貴子さん。体験レッスンの前に入念なヒアリングを行ってくれた

ベルリッツを訪れると同校唯一の日本人スタッフであるプログラム・アドバイザー・勅使川原貴子さんに出迎えられた。英語の勉強の着地点をどこに置きたいか、普段どのような場面で困っているかなどつぶさに話を聞いてくれる。「ビジネス・シーンで困らない英語力を身に着けたい」と伝えると、勅使川原さんは言う。「ベルリッツの生徒さんには、日系企業の方も少なくないですが、もともと高い英語力をお持ちの方がたくさんいます。それでも皆さん自信がないと言います。そういう方は英語力自体以上に、英語ならではのコミュニケーション・スキルを磨くことが大事です」

これは実感としてよく分かる。言葉が分からないのではなく「例えばこういう時はなんと返せばいいのだろう」と悩むことが僕自身少なくないからだ。

勅使川原さんが退席すると、代わりにベテラン講師のジェイソンさんが入って来る。挨拶を交わし、そのまま世間話に。最初は緊張したものの、会話を重ねるうち徐々に気持ちはほぐれていった。旅行は好きか。仕事は何をしているのか。今後ビジネスで何を目指したいのかなど、いわゆる日常会話から仕事の話までを15分ほど行った。どうやらこの会話を通して英語力を測ったようだ。

結果は、ベルリッツが定める10段階のレベルの6と7の間くらいとのことだった。ベルリッツの資料を読むと、「Level 6 = 数人のネイティブ・スピーカーとの会話に難なく参加できる。電話で長時間会話ができる。弁護士、会計士に専門的な相談をする」「Level 7= 知らない話題でも、会話の内容がよく理解できる。ネイティブ・スピーカー独特の表現が理解できる。議論の場で自分の考えを主張する」とあり、勅使川原さんいわく上級者の入り口とのこと。もちろんリップ・サービスもあるだろうが意外にも高い評価を素直に嬉しく思うとともに俄然やる気に火が付いた。その後、体験授業に入る。授業中、印象的だったのは僕が話している英語を都度きちんとその場で丁寧に修正してくれることだ。例えば、「そこはatではなくinだ」「そこはI’d like to haveではなく、I’m looking forの方がナチュラルだ」「この副詞を使うならば時制は現在完了の方がベター」など、適当な英語をきちんと指摘してくれる。


レッスンを担当してくれたジェイソン先生。会話の途中でもこちらの文法のミスなどを丁寧に指摘してくれた

英会話に悩んでいた僕は来豪後、ある段階から正しく話すことよりも意図が通じることを重視し始めた。その分、前置詞や時制など細かい部分はだいぶおろそかになり、今もあやふやなままになっている。そこをきちっとやろうとするとうまく話せなくなるため流してしまっているのだが、時に本当に言いたいことが理解されていないなと感じることが多々あった。ジェイソンさんからも「そのあたりをもっと正確に話せるようになると、ビジネス・シーンでも会話に信用力が増します」と指摘された。

ベルリッツでは、完全プライベート・レッスンが基本で、決められたカリキュラムに沿うだけではなく、例えば会議のプレゼンの練習や英語での資料作りなど、必要があれば自由に内容をアレンジできるという。例えば、ローカルの企業と商談があるとして、その際に想定できるやり取りを事前に練習しておくなどといった使い方も可能にちがいない。今回の体験レッスンは短いものだったが、得るものは大きかった。入学をぜひ検討してみたいと思う。皆さんの中でも密かに英語でお悩みの人は、ぜひ1度訪れてみてほしい。

<プロフィル> 編集部BBK
スキー、サーフィン、牡蠣、筋子を愛すシドニー新参者。常にネタ探しに奔走する根っからの編集記者。
齢30半ば♂ 妻あり。読書、散歩、晩酌好きのじじい気質。

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