山頂の景色に感動! こんなにポテンシャルが高いとは思わなかった
編集部BBKの突撃レポート
不定期連載第11回
シドニーから車で
日帰りスキーに行ってみた!
─スキーマニアがお届けするプチ・シドニー・スキー事情─
プロフィル通り「趣味は?」と聞かれれば、僕はもちろん「スキーだ」と答えているが、実は内心「趣味なんてレベルじゃないけどな、ふふん」って勝手に悦に入ったりもしている。なぜなら僕にとってスキーはまぎれもなく生きがいそのもので、これまでのアラフォー人生、訪れたスキー場の数は計り知れない。日本国内では西日本のスキー場以外はだいたい行ったし、海外に目を向けても一時、空前のスキー・ブームが巻き起こった韓国から本場ヨーロッパ、カナダ、そしてアメリカ、NZなど数え上げればきりがない。しかし、だ。ここオーストラリアのスキー場に関しては、全く開拓できていないのが現状だ。
移住から1年10カ月。最近になりやっと落ち着きを見せ始めてはいるが、まだまだ生活は安定のレベルまで達していない。ここ数カ月は週末に家探しをするのが恒例で、とてもスキーに行っているような暇などなかった。しかし、このまま今年もスキーに行かず冬が終わってしまえば、精神的ダメージは計り知れない。そこで8月になり、僕はついに重い腰を上げることにしたのだ。もちろん、週末をつぶすことに関して妻は難色を示したが、そこはやはり夫としての腕の見せ所。ヘリー・ハンセンの最新スキー・ウエアを奮発して買ってあげると「なんか急に行きたくなってきた!」となり、懐柔に成功。
8人乗りリフト! こんなに横に長いリフトは初めて見た
今回僕らが向かうことにしたのはペリッシャー・マウンテン。シドニーのスキー・ショップ定員にヒアリングした結果、薦められたからだ。リフト・パスがIDカード式で事前にネット決済し、アクティベートしておけばすぐに使えるというのでカードを2枚分もらって帰る。家に帰り、ネットでチケットを購入しようとしていた妻が大きな声でひと言。「高っ!!」。なんと、1日券が1人あたり115ドル。まじか…。さらにその後、ホテルを調べ絶句。ゲレンデ近くで唯一空いているのが1泊600ドルの部屋。もし1泊して2日間滑ったらその予算はなんと1,000ドル超え…。こりゃ日帰りしかないな、という結論に。
スキーエリアから100キロほど手前にあるクーマの街で装備を整える。上はスキー板、下はタイヤ・チェーン
土曜日の早朝3時(金曜日の深夜か)、シドニーを出発。一路キャンベラを目指す。途中、道を間違ってしまったこともあり、キャンベラの街に着いたのはなんと朝の7時半。街を抜け、その後まっすぐ南に110キロ下るとクーマの町へ。クーマの町はスキー・エリアに向かう人々の中継点となる町で、スキー用具やタイヤ・チェーンのレンタル・ショップが軒を連ねている。路面の状況次第でタイヤ・チェーンを借りる必要はないのでは。そう店員に尋ねると「持っているかどうかをチェックされることがあり、持っていないと高い罰金を払わされる」という。つまり路面に雪があろうがなかろうがチェーンを借りる必要があるのだ($30くらい)。しかし、4WD車なら免除されるそうだ。ノーマル・タイヤなら4WDだって危ないと思うのだが…。
クーマからさらにスキー・リゾートの拠点となるジンダーバインの町まで60キロ。ここまで来ればスキー・エリアはあと少し。ナショナル・パークの入場料を払い、いざペリッシャーへ30キロ!なお、この時点で雪らしきものは全く見えない。不安にかられながら総計約500キロのドライブを経てついにスキー場に到着したのは、なんと午前11時半だった。いやはや…。
しかし、である。目の前にはたっぷりと雪をたたえた山がそびえたっているではないか。まさに、突如、である。突如、雪山が現れるのだ。はやる気持ちを抑え、これまでのスキー人生で初めて見る8人乗りリフト、そしてトリプル・リフトを経て早速山頂へ。そこで僕は嘆息する。日本でもなかなかない標高2,000メートル超を誇るゲレンデ上部の雪はほどよく締まったアイスバーンで、眼下には自然の地形を生かした雄大なコースが広がっていた。途中、激しい降雪にも見舞われる。まさか、ここオーストラリアで本格的な吹雪に遭遇するとは!道中、いつまで経っても雪景色にならず、全く期待しなくなっていた分その驚きは半端ではなかった。ゲレンデの規模もまた、日本国内の有名スキー場を凌駕する大きさ。
スキー場のショップに弊社発行の日本を紹介する英字雑誌「J-Style」を設置
ペリッシャーは標高差こそ300〜400メートルとそれほど高くないが、横に広く、結局僕らのスピードでも(結構早い)夕方までにすべてを滑りきることはできなかった。加えて近くにあるまた別のスキー・エリア、スレドボは標高差が700メートル近く。日本でもその規模はなかなかないぞ。オーストラリアのスキー場、なかなかやりおるな。あとは値段さえ安ければ言うことないのだが。
来シーズンにはきちんと計画を立て、いくつかのスキー場を回ってみたい。そして日豪プレス紙面でスキー・エリア特集なんてものができたらそれに勝る楽しみはない。いつか必ずやるぞ〜!
P.S. 夕方、スキーを終え、ジンダーバインで夕食を食べ、家に帰り着いたのはなんと深夜2時。車で日帰りするような距離ではないということを最後に付け加えておこう。
<プロフィル> 編集部BBK
スキー、サーフィン、牡蠣、筋子を愛すシドニー新参者。常にネタ探しに奔走する根っからの編集記者。
齢30半ば♂ 妻あり。読書、散歩、晩酌好きのじじい気質。