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行って来ました! 車でいざ「ブルー・マウンテンズ」

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新編集部員BBKの生リポ


不定期 第1回

行って来ました!
車でいざ「ブルー・マウンテンズ」

ちょっとしたことで世界が一変する瞬間というのがある。僕にとってそれはNSW州の運転免許証を手に入れたことだった。日本では名を知られたジャーナリストではないながらもそれなりに忙しくあちこち車で取材に飛び回っていた。が、来豪からのこの半年。僕の相棒は49ドルで買った2輪車、すなわちキック・スクーターへと取って代わった。どこへ行くにもひたすら地面を足で蹴って進んできたおかげで足にはずいぶんと筋肉がついたが、そんなことはどうでもいい。入国から半年が経過し(※)、晴れて運転免許証を取得したその瞬間、目に映るシティの景色が変わった。世界が一変したのである。それまで横切るためだけに存在していた車道に対するベクトルは90度変わり、僕は道の先に想いを馳せるようになり、その結果、シドニーという街の持つ可能性のあまりの大きさに嘆息したのだ。この道の先にどれだけの可能性が広がっているのかと。数日後、僕は妻を助手席に乗せ、一路ブルー・マウンテンズへと車を走らせた。


妻は樹海をただただ眺め続けていた


簡単なブッシュウォーク・コースでも十分に自然からの癒しを感じられた

(※)NSW州では、半年間以上滞在すれば、自国の免許の翻訳と所定の料金を支払えば、テストを受けることもなく免許証を持つことができるのだ。

わずか1時間半、久々のドライブもつかの間、ブルー・マウンテンズに到着。お決まりのエコー・ポイントへ行ってみる。スリー・シスターズ、そしてはるか彼方まで続く樹海を眺める。その偉大な景色に呆然としつつ、今度は簡単なブッシュウォーキング・コースを歩く。ユーカリの原生林、多雨林のパワーに圧倒される。人は自然の持つ巨大な力を感じる時、同時に1人の人間が抱えているものなど、どのようなものであれ大した意味を持たないのだと気付かされるのかもしれない。僕は、心が日常で背負ったさまざまな荷物をいつの間にか降ろしていることに気付いた。妻の顔をそっとのぞいてみる。整理整頓好きな夫に、いつも部屋を片付けろと怒られる生活に辟易して疲れきっていた妻の顔は、禊を終えた後のようなすがすがしさに満ち溢れていた。ありがとう、ブルー・マウンテンズ。

絵葉書と同じ景色。それを見ることに何の価値があるのか。そんなことを言いながら結局どこにも足を運ばない人は少なくない。それはテレビを見て海外に行った気になっていることと同じで全く意味のないことだ。五感で感じた体験に勝るものはない。ブルー・マウンテンズに行ったことのない人はまず、足を運んでほしい。僕自身、今後何度も足を運びその魅力をさらに深堀りしていきたいと思っている。

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