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豪州で日本の本を売る仕事の魅力──シドニー日本人国際学校の生徒が日豪プレスで記者体験

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オーストラリア紀伊國屋書店のスタッフにインタビュー

 8月5日、シドニー日本人国際学校の生徒2人が、同校の職場体験学習の一環として日豪プレス編集部を訪問した。職場体験学習とは、さまざまな職業を実際に体験することで各職業の特色や仕事内容を理解し、将来の職業選択に生かすことを目的にしたプログラムだ。今回は、イヤー8(中学2年)の川島康輝さんと新実ジュリアン薫さんが1日記者となり、取材と記事作りを体験。シドニーにあるオーストラリア紀伊國屋書店の中林亜紀さんにインタビューを行った。

インタビューの様子

川島康輝さん(以下、川島):中林さんのお仕事について教えてください。

中林亜紀さん(以下、中林):私は、タイのバンコクに3年間滞在し、シドニーに2020年2月に来ました。オーストラリア紀伊國屋書店では、日本と中国の担当マネージャーをしていて、大学や図書館に本を販売する部門やオンラインサイトの担当もしています。4部門を兼務しているため、和書や中文について、私が店頭に並ぶ物をオーダーしたりディスプレイしたりという仕事はしていません。基本的には、スタッフの管理業務や、特定の時期にフェアを開催する際や、重要なタイトルのハイライト、日本側とのやり取りなどを行います。

川島:ここは日本人のスタッフが多いのですか。

中林:はい。タイの店舗では、仕事のために日本から来た従業員だけだったのですが、シドニーには、オーストラリアの永住権を持っている日本人が多いので、例えばオーストラリア人と結婚した人など、現在、日本フロアで働いている人は、ほぼ日本語ネイティブのスタッフです。

新実ジュリアン薫さん(以下、新実):売り場に並ぶ本はどのように選んでいるのですか。

中林:店頭で働いているスタッフがお客さんの需要などを見て、その報告などを受け、売れそうな物を考えて判断します。もちろんそれだけではなく、売れ行きが良ければたくさん出して、広くスペースを取ってディスプレイするようなにすることも考えたりします。

川島:日本だと、人気がある漫画などは発売日に販売されますが、こちらでは、発売されてからどのくらいの期間が経ってから店頭に並びますか。

中林:コロナ禍の前は1週間に1回日本から飛行機が飛んでいたので、日本で発売されてから1週間から2週間ほどで到着するという感じだったのですが、現在は少し事情が違い2週間に1回になってしまったので、タイミングによっては、3週間から1カ月近く掛かることもあります。残念ながら、コロナの影響で以前より時間が掛かっているという状態です。

新実:中林さんは、なぜこの仕事を選んだのですか。

中林:小さい頃から本を読むのが好きで、大学生になって就職活動する時に、少しでも自分の好きなことに関わりがある仕事を選べば、つらい時でも多少は耐えられるのかなという思いがあって選びました。書店というと、店頭で働くというイメージがありましたが、配属先が営業部だったので、そういう意味では、想像してたのとは全く違う仕事をしてます。また、海外に行くなんて最初は想像もしていなかったので、大学の頃に思い描いてしていたのとは異なる仕事ですが、それはそれで楽しいです。

新実:今の仕事を気に入っていますか。

中林:100%ずっと楽しいわけではないけれど、この仕事が好きだなと気付きました。売上が伸びた時など、頑張ったと実感する喜びがあります。また、仕事を通して新しい自分を知るなど、自分のキャパシティーが広がったと思うこともあります。

川島:仕事でやりがいを感じる時はどんな時ですか。

中林:お客さんに喜んでもらえる瞬間です。また、自分がマネージメントしているスタッフが働きやすい環境になったなと感じた時、良かったと思いますし、他の人の役に立っていると、仕事をやっていて良かったと感じることが多いです。

新実:中林さんは、これから本はどのような形で世の中に出ていくと思いますか。

中林:近年、電子書籍が増えていますが、私は紙の本の方が好きです。紙の本はなくならないと思います。研究の分野だと検索できたり、関連する論文などを素早く読めた方が楽だと思いますし、日本の学術出版書の電子化は遅れているので、そういう点ではもっと電子化が進むべきだと思います。マンガをたくさん読む人もスペースの保管の問題があるので、電子化が良いでしょうが、小さい子どもが読むような本は紙で良いのではないかと思います。

川島:本の販売など営業で鍛えられたことは何ですか。

中林:コミュケーションや社交性は社会人になってから身についたと思います。他の会社の人と話したりするのが楽しいです。

新実:これからの展望について教えて下さい。

中林:海外での店舗数を増やしていきたいですね。海外で日本語の本を売って日本を好きになってもらいたいのが一番の目標です。

取材を終えての感想

川島康輝

 私は、職場体験で会話の大切さを学びました。日豪プレスの編集長・馬場さんに「アイスブレイク」について説明され、いざインタビューを開始したら、とてもスムーズに進めることができました。また、インタビューをする時には、トピックを決めてそのことについて質問し、相手の回答を聞いて気になったことを聞くキャッチボールが大事だと言っていました。しかし、いざその場面になると、質問を返すことが難しかったです。しかし馬場さんは会話のキャッチボールをすらすら行っていてとてもすごいと感じました。会話のキャッチボールをすることで場の雰囲気がゆるくなってインタビューをしている時とても会話が盛り上がっていました。今回学んだことを今後、いろいろなことに生かして行きたいです。今日は、ありがとうございました。

新実ジュリアン薫

 私は職場体験をして感じたことがたくさんあります。まず、紀伊國屋書店で取材をした時、とても緊張しました。この取材は私にとって初めての取材だったからです。こういう体験はあまりしないので取材して良かったと思いました。紀伊國屋書店の日本セクションの担当の中林さんは明るく質問に答えてくれたので安心しました。取材の後、私は日豪プレスのオフィスに行き、取材で録音したものをノートに書きました。録音したのをノートに書くのは少し難しかったけど、日豪プレスの人はこのような仕事をしているんだと実感できました。今回、私にとって初めての職業体験が日豪プレスでとても良かったです。またいつか日豪プレスで職業体験してみたいです。今日は本当にありがとうございました。

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