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シドニーのスーパーで見つけた「謎・冷凍ラーメン」を食べてみた

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 自称・料理男子のシドニー在住・忠太郎のフード・レポート。皆さんに代わってめずらしい食材や見つけた面白いもの、気になるレストラン情報などをレポートしていきます!

 筆者がシドニーに移住したのは今からざっと10年前。この10年、シドニーではどんどん新しいラーメン店が誕生し、噂を聞きつけるたびに足を運んできたが、ラーメン店の出店は郊外にもどんどん広がり、今や全店コンプリートは夢のまた夢となった。シドニーは今や「南半球一のラーメン・シティ」と言っても過言ではないかもしれない。たとえ、日清チキンラーメン5パックが13ドルの高値で売られていようとも、日本を遠く離れてなおラーメン道を追求できるのはうれしい限り。

 で、そんな中、私、地元のスーパーの冷凍庫(Harris Farm Market)でこんなものを発見! その名も「Miso Ramen Chicken Miso Soup」。1箱1食で値段は9.9ドル(日本円で900円ちょい)。高っ!

見たことないブランドの箱入り冷凍ラーメン

 中身がどんな感じが全く想像もつかないが冷凍ラーメン1食9.9ドルは果てしなく高い(と感じた)。箱にはChicken Miso Soupと書かれており、おそらくチキンストックに味噌入れた的な感じなのかなと推測しながらも「うーん、これはハズレの匂いがプンプンするな~」との印象。

 日系ブランドではないし、これはひょっとすると昨今のシドニーのラーメン・ブームに当て込んだ「なんちゃってラーメンか?」と邪推してしまう(日本人的観点からすると)。試してみる日本人はあまりいないだろうと思い、それならばと実際に買って食べてみることにした。

 パッケージにあるブランド名「Goulmet Break」をググると、どうやらシドニー郊外を拠点とする冷凍食品メーカーのよう。他にも餃子やシュウマイ、麺類だとラクサなどの商品も出している。

 「当地のにわかラーメンファンは騙せるかもしれないが、日本で各地のラーメン店を行脚してきた私の舌には通用しないよ」

 勝手に批評家気分になりながら、それでもせっかくの自腹グルメを無駄にはしたくないとの思いから、せめてトッピングくらいはきちんとしようとチャーシュー、煮玉子、ネギは自前で用意した。

自前のチャーシュー。豚肉の塊の周囲をフライパンで焼いて、チャーシューダレ(しょう油、みりん、砂糖などざっくり目分量)で煮込んだシンプルな一品

 パッケージを開けてみる。

 「冷凍麺、スープ、具材をそれぞれ茹でるセット」のようなものが出てくることを想像していたのだが、なんと出てきたのはプラスチック製の黒い丼ぶりだった。そして中には凍った麺とスープ、具材が渾然一体と入っている。調理法は水をカップ2杯ほど注いでレンジでチンするだけ。驚くほど簡単だ。器を用意する必要すらなかった。

開封してみるとなんと丼ぶり付きだった
水を注ぐ
900ワットの電子レンジで6分チンする

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 6分後、レンジを空けてカップを取り出し、箸で混ぜる。まだ少し冷たそうな硬いところがあったのでもう1分ほど加熱。取り出すといい感じに湯気が出ていたので、これで完成としてみる。具材が底に沈んでいたので箸を入れ、麺をひっくり返す要領で具材を上に引き上げる。

 すると驚いたことに、大きなチャーシュー、刻みネギ、コーン、そしてしいたけなどの具材が姿を現した。そもそも、トッピングを用意する必要もなかった。

レンジでチンし、具材を底から引っ張り上げる。思った以上に具だくさんだった

 熱々の状態で食そうと急いで撮影し、写真がなんとなくしょぼくなってしまったのは私のミスだが、実際にはこの麺の下には更に多くの具材が隠れており、すべてを引き上げるとそれなりに豪勢な感じになった。

 スープをひと口すすってみると、意外や意外、濃厚な味噌スープ味が口の中に広がる。期待値が低かったことを差し引いても、しいたけのだしもしっかりと感じられるスープは美味だった。

 ちなみに筆者調べだが、オージー・ラーメン・シェフにはしいたけのだしをベースにしょうゆラーメンを作る人が多い気がする。昆布や煮干しなど魚介はカスタマーの需要的にハードルが高いのか、理由はわからないが「オージーがラーメン作りました」的な店を訪れると、もれなくしいたけ君との遭遇率が高い気がする(あくまで筆者の経験です!)。

 さて、スープは美味だったが、一方で麺には冷凍の限界を感じた。一度茹で、冷凍された麺を、再度水を入れて加熱しているためか、コシは失われ、ちょっとポソポソしているというか、麺が切れやすい状態だった。ただし、トータルで見ると悪くない。それが偽らざる私の感想だ。麺、スープ、具材、調理した1杯のラーメンをそのまま急速冷凍したような商品だが、考えてみると日本のスーパーやコンビニにもレンジでチンするだけの「冷凍鍋焼きうどん」などがある。それを考えると、レンチンするだけの手軽さと合わせて、意外とこれはありかもしれないと思った。

 まあ、日本の冷凍食品と比べて値段は高いには高いが(と思っていろいろ調べてみたら日本の冷凍うどんでもグレードが高い、ブランド的な商品は1食あたり同じくらいの値段のものもあった)、昨今、シドニーではラーメン1食20ドルすることを考えるとこれくらいの値段は妥当かもしれない。

 記者的にはもう3割ほど安ければ、味は悪くない、食器もいらない、具材の準備もいらない、洗い物も出ない、などのメリットから冷凍庫に常備しても良い商品になるのではないかと思った次第。ちょっと高いけど、満足度の高い非常食的な感じで常備もありかと思われ。なお、今回は見つけられなかったが、同ブランドのシリーズには豚骨ラーメンもあるようだ。ラーメンと言えば豚骨、そんな感じで進化してきたシドニーのラーメンシーン、意外と期待できるかもしれない。次はそちらも試してみたい。

せっかくなので用意したトッピングを載せてみた図。同商品には刻みネギも入っているので実際には好みで玉子を用意するくらいで良いだろう

熟練した職人が丹精こめて打ち上げる「雪村そば」

忠太郎

シドニー在住11年。ワイン片手にキッチンに立つのが何より至福の時間。家にある食材を見繕い適当に作った料理を「創作料理」と本人は宣うが、ワインが進むほど味が濃くなるので家人はいつもヤキモキしている。趣味はだし取り。ポン酢、香味油など調味料はだいたい自作。目分量なので味が都度変わるのが難。豚骨ラーメン作りにハマった時は家中に豚臭で家人は辟易。最近は「至高の麻婆豆腐」作りに情熱を傾ける

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