在シドニー日本国総領事館より 詐欺対策について
1 統計
NSW州における詐欺被害の認知件数は、年間5万1,838件(2018年4月から1年間)です。前年も5万7件であり、国を挙げて対策に取り組みながらも、減少していないことが分かります。そしてどれくらい多発しているかと言うと、人口10万人当たりの発生率に換算すると、日本が30.5件なのに対し、NSW州は648.5件であり、非常に多いと言えます(18年統計)。
また、シドニーに限って見ても、17年4月からの1年間で3万6,155件の認知、18年4月から1年間で3万6,780件であり、NSW州全体と同様の傾向を示しています。
2 被害の態様
最も多いものとして、国税庁(ATO)の職員を装い、税金の滞納を理由として、「今すぐ振り込まないと逮捕される恐れがある」などと脅迫し、指定の銀行口座に現金を振り込ませようとするものが挙げられます。また、手段として警察官を装うもの、不法利益を得る手段としてiTunesカードを購入させるものなど、手口が複雑・巧妙化しています。
その他、在シドニー日本国総領事館で把握したものを以下に紹介します。
- 日本人女性に対して言葉巧みに近づき、親しくなると借金名目で金銭をだまし取る。具体的には、ファーストフード店やカフェなどに居る女性に「私はチャイルド・ケアのボランティアや留学生のサポートをしている。仕事や学校を紹介できる」などと英語で言葉巧みに声を掛けて食事に誘い、その後、親しくなると「ひったくり被害にあって手持ちのお金がなくなった。1週間で返すから生活費を貸して欲しい」、「病気に掛かっていて病院に行くため明日の朝までにお金が必要」などと金銭を要求し、お金を貸してしまうと、その後音信不通となるもの
- スキミング(あらかじめ用意しておいたスキマーでカードの磁気情報を盗み、偽造カードをつくる手口)による被害。タクシー乗車時の被害も確認されている
- Eメールなどを使って銀行の口座番号、暗証番号を聞き出す
- 海外に居住する子どもや孫を装って、交通事故(治療費、示談金が必要など)を起こしたと言って母親や祖父母に電話して欺罔し、現金を振り込ませる
- インターネットなどで知り合った外国人が、恋人や結婚相手になったかのように錯覚させ、送金詐欺に掛ける国際ロマンス詐欺。フェイスブックなどのSNSや恋人紹介サイト、言語交換アプリで知り合い、言葉巧みに恋愛感情を高め被害者が信じ切ったところで緊急事態が発生したとして送金を要求する ※特に相手が米国軍人を名乗る場合は要注意
- ウェブサイト上で見つけた家の大家と連絡を取り、先に敷金などを支払ったが、実際に家に行くと既に別人が居住しており、大家とも連絡がとれなくなったなど。特に、留学生、ワーキング・ホリデー・メーカーなどの若者の被害者が多く不動産会社を通さずにインターネット上で住宅の大家と直接やりとりをし、敷金などを振り込むもその後連絡が着かなくなり、詐欺被害に遭ったと判明するケース
その他、最近の手口などに関する詳細については下記、ATOや消費者庁(ACCC)のウェブサイトに掲載されているので、参考にしてください。
▼ATO Web: www.ato.gov.au/general/online-services/identity-security/verify-or-report-a-scam/
▼ACCC Web: www.scamwatch.gov.au
3 対策
一般的に挙げられるものとして、
- クレジット・カードなどを使用する場合は、店員のカード操作を確認
- 求人に応募する際は、短期間で多額の報酬を得られるような仕事は、海外でも通常はないということを十分認識し、安易に応募しない
- 銀行の口座番号、暗証番号などを聞き出す手口があるため注意。特に暗証番号は絶対に他人に教えない
- 電話などで振り込みの指示があった場合は、安易に振り込まず、一旦電話を切り、必ず関係者や関係機関に対し確認する
- シェアハウスなど入居の際、インターネットで取引を済ませることなく、入居前にインスペクションし、大家と書面で契約を交わす。初めての相手に大金を振り込む場合は慎重を期す
- 初対面もしくは何度か会っただけの見知らぬ人間の言葉を信用して、安易に連絡先を教えたり、お金を貸したりしない
などがありますが、万が一被害に遭った場合は、必ず警察に届けてください。
また、詐欺の手口に関し、最新の情報を得るべく、上記ATOやACCCのウェブサイトを参考にする他、在シドニー日本国総領事館でも安全に関する情報を発信しているので、右記参考情報を確認してください。また、これらの情報を随時受け取れるよう、3カ月以上滞在する日本人は、最寄りの大使館又は総領事館などに在留届を提出(義務)し、3カ月未満の旅行や出張などの際でも、「たびレジ」の登録をお願いします。
被害に遭ったら
まず、速やかに「000」(身の危険のあるもの)、「131-444」(身の危険のない詐欺被害など)にダイヤルし、警察に届けてください。
被害に遭った場合、在外公館への連絡の義務はありませんが、連絡を頂ければ、在外公官としてできる範囲内での支援は行っています(日本からの送金方法への助言、旅券の新規発給または旅券に代わる渡航書の発給など)。
◆在シドニー日本国総領事館 Tel: (02)9250-1000(代表) (※夜間、休日も連絡可) Web: www.sydney.au.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
参考情報 ・在シドニー日本国総領事館のウェブサイト内「シドニー安全の手引き」 アクセス方法:在シドニー日本国総領事館ウェブサイト → 生活・安全 → 在留邦人向けマニュアル「シドニー安全の手引き」
・在シドニー日本国総領事館のウェブサイト内「海外安全対策情報」 アクセス方法:在シドニー日本国総領事館ウェブサイト・トップ → 生活・安全 → 海外安全対策情報
・在シドニー日本国総領事館のウェブサイトから配信登録が可能のメール・マガジン アクセス方法:在シドニー日本国総領事館ウェブサイト・トップ → 生活・安全 → 在シドニー日本国総領事館メール・マガジン