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シドニーで話題沸騰の激ウマ「高級食パン」──元・本田圭佑専属カメラマンのベイカー直撃

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 自称・料理男子のシドニー在住忠太郎のフード・レポート。皆さんに代わってめずらしい食材や見つけた面白いもの、気になるレストラン情報などをレポートしていきます!

 今回は、我が家にある日突如届いた高級食パンを紹介したい。といっても、シドニーの日系コミュニティー界隈では既に話題になっているので知っている人も多いかも。その名も「秋パン」。妻が友人から頂いた一品だが、まず紙袋からして立派、明らかにオーラが違う!

左が北海道産小麦を使用した食パンで、右が豪州産小麦を使った食パン

 開けてみると中からは2斤の食パン。色合いの違うその2つ、片方は北海道産小麦、もう一方はオーストラリア産小麦を使って作られたものだそう。北海道産小麦使用のパンの方が、色が白い。

 中には最もおいしく食べ続けるための注意点などが記載された用紙も封入されており、経過日数に応じた保存法などが事細かに書かれていた。そのイラスト付きの「トリセツ」を見るだけで、作り手が並々ならぬ情熱、こだわりを持ってパン作りに取り組んでいるかが伺い知れる。

 パンの品質はもちろんだが、料理男子としては、むしろどんな人が、どんな思いを込めてこの商品を作っているのかということに、より強く興味を抱いた。そして伝手をたどり、「秋パン」ディレクター・小野一秋さんへのアポに成功。早速お話を伺うことにした。

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ベイカーは出色の経歴を持つとんでもない人だった

忠太郎:一秋さんはじめまして。自称・グルメ男子の忠太郎と言います。私もいろいろ自作するので(筆者注:読み進めると分かりますが足元にも及びません 笑)、今回の「秋パン」には半端ないこだわりを感じました。並の職人じゃないと直感しましたが、一秋さん、いったい何者ですか?

一秋さん:職人なんてそんな(笑)。本業はカメラマンなんですよ。

忠太郎:え、そうなんですか? どんな写真を撮られてるんです?

一秋さん:もともとは車やバイクなどですね。ただ、コマーシャル系のフォトグラファーですし、CMなどのディレクター業もやっているので最近は何でもありという感じです。本田圭佑の専属カメラマンをワンシーズンやっていたこともありますよ。

忠太郎:え、元サッカー日本代表の!? 

一秋さん:ええ、メルボルン・ビクトリー時代に本田選手から直接オファーがあって引き受けました。あの時期はどこへ行くにもずっと彼と一緒に行動していましたよ。また、2020年末の「はやぶさ2カプセル回収プロジェクト」(記者注:2014年に種子島の宇宙センターから打ち上げられ、小惑星「リュウグウ」のサンプルを回収した小惑星探査機「はやぶさ2」がオーストラリア南部・ウーメラへとカプセルを投下した)では、JAXA(宇宙航空研究開発機構)専属の撮影チームを組織しました。カプセル捜索ヘリに乗ることができたカメラマンは、自分だけだったので強く印象に残っています。あとは日本航空(JAL)のカレンダー撮影などもやってます。

忠太郎:いったい何者ですか、一秋さん? 謎は深まるばかり……。そんなすごいカメラマンが、なぜまた、食パン作りを始められたのですか。

一秋さん:そんなに大げさなことではないです。もともと、何でも自分で作るのが好きなんです。庭にピザ窯を作ってピザを焼いて、来て頂いたゲストに振る舞っていたこともあります。

忠太郎:ピザ窯から作るって……。もはやプロですね。お金取れますよ!

一秋さん:いやいや、好きでやっているだけですから(笑)。ただ、来て頂いた飲食関係の方に気に入って頂き、ロードハウ島の高級コテージ(Island House)のオーナーが作ったブルワリー(The Brewery)に、レシピ開発や営業を見据えてのコーチングを目的に招かれたこともありました。

忠太郎:なんならプロのピザ職人を超えてるじゃないですか。エピソードがいちいちすごすぎて言葉が出ません(笑)。パン屋ではなく、ピザ屋さんは考えなかったのですか。

一秋さん:いや、でもピザを作れる人はたくさんいますから。今回、何でしょうね、直接目の前のお客さんに喜んでもらえるような仕事をしたいなと考えていてパンに行き着いたという感じですかね。業務用の、そこそこのサイズの機械も買ってしまったんでもう引き返せないかも(笑)。

突然のインタビューに気さくに応じてくれた小野さん

国産小麦の焼きたてパンPan&(パンド)


今はお得意様のみ、だけど近日中に店舗オープン?

忠太郎:今回頂いた食パン、どちらもありえないくらいおいしかったですが、特に北海道産小麦を使ったパンに衝撃を受けました。指でちぎれるくらいのフワッフワ感、それでいてしっとり、口の中に広がるほのかな甘味。明らかに普通の食パンの域を超えてると感じました。ポイントはどこにあるのですか? 

一秋さん:砂糖を使っていないというのは、こだわりポイントかもしれないですね。

忠太郎:すると、あの絶妙な甘味と旨味は?

一秋さん:小麦粉本来の甘味を最大限に引き出したという点は強調しておきたいです。その上で、甘味として蜂蜜を使ってます。蜂蜜だけだとなかなか膨らまないなど課題は多くあったのですが、実験に実験を重ね、今の商品を完成させました。パン屋さん同士って、おそらく一度食べれば、だいたい同じようなパンを再現できると思うんです。ただ、僕のパンの場合、かなりの試行錯誤を元にした勘所が必要になってくるので、レシピを分かっても同じものはなかなか作れないのではないかなと思います。

忠太郎:さすがの自信ですね! それに北海道産の小麦を使っているという点で言えばオーストラリアでは唯一無二ですよね。

一秋さん:原料で言えば、日本から北海道産小麦を輸入している人はいないのではないでしょうかね。その分、値段はどうしても張ってしまいますが、本当においしいものを届けるためにはそこは避けられないです。

9月に開催された「Japan Expo」では長蛇の列であっという間に完売したという

 話題が話題を呼び、9月にシドニーで開催された「Japan Expo」では、「秋パン」のブースは開場から大行列、用意していた200斤のパンはあっという間に売り切れたという。ちなみに、どこで買えるの? と気になっている人も多いだろうが、実はまだ一般には売られておらず、知り合いベースでリクエストに応じて作っているのだという。ただ、近日、ピアモントあたりにお店をオープンするとの話もちらほら。とりあえず「秋パン」。超絶オススメです。そして、それ以上に小野一秋さん自身がすごい(笑)。ぜひ、「秋パン」のサイトと共に、一秋さんの本業サイトものぞいてみては。

■「秋パン」オフィシャル・サイト

Web: www.akipan.com.au/

■小野一秋さん・フォトグラファー・ウェブサイト

Web: kazuakiono.com/

忠太郎

シドニー在住11年。ワイン片手にキッチンに立つのが何より至福の時間。家にある食材を見繕い適当に作った料理を「創作料理」と本人は宣うが、ワインが進むほど味が濃くなるので家人はいつもヤキモキしている。趣味はだし取り。ポン酢、香味油など調味料はだいたい自作。目分量なので味が都度変わるのが難。豚骨ラーメン作りにハマった時は家中に豚臭で家人は辟易。最近は「至高の麻婆豆腐」作りに情熱を傾ける


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