Q: 小学4年生になる子どもがいます。日本語補習校に通っていますが、漢字が全然覚えられません。習った先から忘れてしまいます。どうしたら覚えられるのでしょうか?
海外で日本語を勉強する子どもたちにとって、漢字は本当に難しいですし、多くの保護者の方々が頭を悩ませていて、たくさんのご相談を頂きます。
1年生の漢字を習い始めた時は漢字を覚えるのがうれしくて意欲的なお子さんが多いのですが、2年生から量がぐっと増え、1つの漢字に対する音訓読みも入ってくるので難しく感じるようになってきます。3年生になると抽象的な語彙の漢字も増えて、漢字が嫌いになるお子さんもいます。
海外暮らしで漢字を覚えられないのは当然です。
日本にいたら、漢字は学校やメディアなどにより目にしますし、外に出たらあちこちに溢れており、毎日使います。常に漢字に囲まれた生活をしているため、何度も繰り返し勉強しているようなものです。
補習校や塾に行っているから、日本で育った保護者の方々のように漢字を覚えられると考えないでください。もちろん、漢字が好きで覚えられるお子さんもいますが、週1回の学習では難しいのです。
でも、諦めないでください。長い目で見て、習った漢字をその時全部覚えられなくても、1つずつでも頭に引っ掛かって、何かの機会に思い出したら喜んであげましょう。
今はデジタル機器で文書を作成する時代、子どもたちの宿題もPCですることが多いですよね。書けなくても、何となく読める、意味が分かるだけでもすばらしいと思います。
そして、毎日の生活の中で漢字に触れる機会をたくさん作ってあげましょう。
家の中で漢字を目にする工夫をしてみてください。壁に表を貼っておくとか、メッセージのやりとりを日本語でする、リズムを付けて音読してみる、カルタやアプリなどの漢字ゲームで遊ぶなど、お子さんが好きそうなアクティビティーを見つけましょう。
お子さんが興味を持っているものと日本語を結び付けるのも良いですね。例えば、サッカーや折り紙、乗り物、食べ物などについて日本語の雑誌やYouTubeで見てみるなど。学年別に順番に覚える必要もないですから、お子さんの好きなところからアプローチしてみましょう。
■小学校入学準備パンフレット(日本語)
Time to start school – Japanese (det.nsw.edu.au)
Web: schoolsequella.det.nsw.edu.au/file/8f202023-57ab-4d2f-9577-a2964be282b3/1/time-to-start-school-japanese.pdf
回答者
内野 尚子
在豪26年。デイケア、プリスクールAuthorizedSupervisor、補習校の教師兼代表を経て2007年UniversalKIDS設立。19年よりオンラインで保護者や教師向けのバイリンガル教育や子育てアドバイスも行なっている。
Web: universalkids.com.au