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タスマニアで出会える海の妖精・リトル・ペンギンを知っていますか?

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第19回 海の妖精リトル・ペンギン/タスマニア巡り

観察時にはライトに赤いセロハンを張りましょう

 夏が近づくにつれタスマニアでは、リトル・ペンギンが小柄な可愛らしい姿で行進し、多くの人を魅了します。小さな体型と青く輝く羽毛の色からフェアリー・ペンギン、ブルー・ペンギンなどの呼び名を持つ彼ら。豪州南半分の海岸線に広く分布しています。ニュージーランドにも生息していると言われていましたが、実は極近しい別種であると最近の研究で分かりました。

 リトル・ペンギンの平均寿命は6年程度、その生涯の多くを海で過ごします。タスマニアでは彼らが陸に上がるのは繁殖期を迎える10~3月。交尾からひなが巣立つまで3~4カ月程度。その期間も採餌のため日の出から日没まで15時間以上も海に出ます。一夫一妻で繁殖期間は交代で子育てをします。ひな鳥はたいてい2羽で、オスとメスの組み合わせが多いそうです。

 リトル・ペンギンの特色の1つは巣穴を掘ること。太く固いくちばしでオスが巣を掘り、求愛します。巣穴は砂地や土、岩場などさまざま。海岸線から数十メートルの時もあれば500メートル以上も内陸に入る場合もあります。いかに外敵に襲われにくいかが重要なのです。採餌から返ってくる時も危険を減らすため皆一緒に海から上がり、団体で巣に向かいます。これが“ペンギンの行進”と呼ばれているのです。

 ペンギンの行進はVIC州のフィリップ島やSA州のカンガルー島が有名ですが、タスマニアでも見ることができます。実はタスマニアは国内最大のペンギンの繁殖地。推定20万ペアが生息していると言われています。そのほとんどが周辺の岩場や小島におり、州本土では5%程度ですが、それでも各営巣地では夏の間、100〜1000羽ものペンギンが繁殖に訪れます。

 州内のペンギン観察でお薦めなのは、ツアーがあるビシェノやロウヘッド、観察用プラットフォームのあるバーニーやデバンポート、ブルーニー島。地元ボランティアや自然公園局の職員が観察指導をしており、ルールに沿って可愛らしいペンギンを観察することができます。

このコラムの著者

稲田 正人

稲田 正人

タスマニアのツアー・ガイド/コーディネーター。タスマニア大学で動物学・環境学を学んだ後、のんびりゆったりした生活感に魅せられ、そのままタスマニアに在住。現在は現地旅行会社AJPR(Web: www.ajpr.com.au)に勤務する傍ら、多過ぎる趣味に追われる日々を満喫中。

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