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草間彌生の作品など見どころ満載! NSW州立美術館の新館がオープン

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Exterior view from Woolloomooloo of the Art Gallery of New South Wales’ new SANAA-designed building, featuring Yayoi Kusama Flowers that Bloom in the Cosmos 2022 © Yayoi Kusama, photo © Brett Boardman 

 創立150周年を記念し「シドニー・モダン・プロジェクト」として3億4400万ドル掛けられたNSW州立美術館(Art Gallery of NSW)の新館が12月3日から一般公開された。本館と新館は庭でつながっており、両建物を合わせると展示スペースは一挙に2倍近くに増え、この夏必見のスポットの1つとして注目を集めている。

 新館のデザインを担当したのは、建築界のノーベル賞と称されるプリツカー賞を2010年に受賞した日本人建築家ユニット、妹島和世と西沢立衛によるSANAA。自然と調和した見事なデザインで、大きなガラス窓からシドニー湾のウルムルー・ベイが一望できる開放的で広々とした空間になっている。

 新館の入口には、ニュージーランドのアーティスト、Frances Upritchardの巨大彫刻が置かれ、古い物と新しい物、中と外など対比するものをつなぐ役目を担うモニュメントとして訪れた人をサポート。自由に触ることができる彫刻となっている。また、正面入って右側はオーストラリア先住民のアボリジナル作品を展示したYiribanaギャラリーで 見応えのある作品が並ぶ。地上階から見晴らしの良い外のテラスに出ると色鮮やかな水玉模様の大型の花のオブジェがある。高さが約5メートルの草間彌生の作品だ。彼女の作品はオーストラリアでも大変人気が高い。地下1階には村上隆の幅10mに及ぶ大きな作品が展示。2018年に開催された「Japan Supernatural展」でNSW美術館が村上に制作を依頼し、大好評を博したものだ。

Yayoi Kusama Flowers that Bloom in the Cosmos 2022 © Yayoi Kusama, photo © Brett Boardman 

 同美術館の数ある見どころの中でも特に見逃せないのが地下4階のタンク・ギャラリー。第2次世界大戦で使われていた秘密の燃料貯蔵庫で、長年放置されていたものがSANAAのデザインによって、他では見られない大規模でユニークな展示会場に生まれ変わった。このギャラリーへの入口は地下2階にある。白いらせん階段を降りていくと隙間から暗い展覧会場をのぞくことができる。まぶしいスポットライトがいくつかゆっくりと動き、オブジェを照らす。時々真っ暗になることもあるので足元に注意が必要だ。125本の柱が演出の一部となり、強い光と暗い影で何とも不思議な世界を作り上げている。展示されている作品はアルゼンチン出身のAdrian Villar Rojasの「The End of Imagination」。映画に出てくるような異星人を思いださせる巨大な塊だ。タンク・ギャラリーの記念すべき第1回目の展覧会は7月半ばまで行われている。入場無料だが入場には予約が必要。

The Tank space in the new building at the Art Gallery of New South Wales, photo © Art Gallery of New South Wales, Jenni Carter

 地下1階のMaking World展では、韓国出身のKimsoojaによる、誰でも自由に粘土でボールを作る一般参加型のインスタレーション「Archive of Mind」の作品が展示。単純な作業でありながら、心がやすらかになる不思議な体験ができる。会場には一度に30人が座れる18メートルある大きな楕円形テーブルが作業台兼ディスプレイテーブルになっている。すばらしいロケーションで壁一面のガラス窓から外の景色を堪能することも。また、台湾出身のLee Mingweiの「Spirit House」も必見だ。地下2階から外に出た一角にあり、入場は1組ずつなので行列ができているかもしれない。のれんをくぐって中に入ると、そこにあるのは一体の美しい仏像。しばし外の世界を忘れ、仏像と対座してみよう。

 新館のオープンに伴い、本館も展示が一新された。大人だけでなく子どもも楽しめる図書館も本館地下3階に開設。2023年1月13日から毎週金曜(11AM~)と日曜(1PM~)新館の入口、ウエルカム・プラザに集合すると参加できる日本語ガイド・ツアーが開始される予定だ。約45分間のツアーは参加無料で予約の必要はないが、ツアーではタンク・ギャラリーは説明のみのため、タンク・ギャラリーへの入場希望の人は別途予約が必要(予約はこちら)。

 この夏は、見どころ満載のNSW州立美術館でアートを存分に感じて欲しい。

NSW州立美術館(Art Gallery of NSW)

●住所:Art Gallery Rd., The Domain, Sydney NSW 2000
●営業時間:月・火・木・金・土・日10AM~5PM、水10AM~9PM(クリスマス、イースター・フライデーを除く、新館オープン記念による開館時間の変更あり。詳しくは下記ウェブサイトをご参照)
●Web: www.artgallery.nsw.gov.au



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