年末年始で家族が集まる機会が多くあったと思いますが、豪州永住者にとって、日本またはその他の外国に暮らす親御さんをどうするかという考慮は大変重要な問題となります。
通常、親を呼び寄せるためのビザには、寄与付きのビザとそうでないビザの2種類があります。寄与が付かないビザの場合、申請料が高額でない代わりに審査に掛かる時間は30年以上とされています。一方、寄与付きの場合、申請料が高額な分、審査に掛かる期間は短いとされているものの、5年程掛かっているのが現状です。毎年の発給部数に制限があること、それに比例するように申請者数が増えていることが主な原因ですが、豪州政府としては、人材確保に苦戦する昨今、シニア層よりまだまだ労働年数が残っている若者に移住してもらいたいというのが本心ではないでしょうか。
サブクラス600 観光(ファミリー・スポンサー・ストリーム)ビザは、比較的早く取得できるビザで最大12カ月の滞在が可能です。そのため、手っ取り早く親御さんを呼び寄せたいのであれば、このビザを検討することは可能です。
また、2019年にサブクラス870「Sponsored Parent(Temporary)」という親呼び寄せ(一時滞在)ビザが導入されました。このビザはあくまでも一時滞在ビザであり、永住ビザにつなげることはできませんが、3年または5年の滞在が可能で、合計10年までの再申請が可能とされています。Balance of Family(国内に定住する子どもの割合)テストが不要な上、審査に掛かる期間は大体3~6カ月が目安とされているため、このビザを検討する人が増えつつあります。
【基本条件】
・ スポンサーとなる子どもが最低4年間、滞在可能なビザで豪州に定住していること
・ 申請時に豪州国籍、永住権もしくはニュージーランド国籍を保持していること
・ スポンサーとなる子どもの年収が最低8 万3,454.80豪ドルあること(パートナーとの合算可)
・滞在中の生活費を賄えること
・人物評価並びに健康に問題がないこと
・滞在中、保険に加入すること
・豪州での就労不可
・子どもによるスポンサーシップ申請料:$420
・ ビザ申請料:$5,240(3年)または$10,480(5年)
子どもによるスポンサーシップ申請後、認可が下りてから6カ月以内に国外からビザ申請を行います。

清水英樹
オーストラリアQL D州弁護士。在豪3 0年以上。地元大学卒業後、弁護士資格を取得。フェニックス・グループCEOとして傘下にあたる「フェニックス法律事務所」、ビザ移民コンサルティング「Goオーストラリア・ビザ・コンサルタント」、交通事故ならびに労災を専門に扱う「Injury & Accident Lawyers」を経営