第18回 何の変哲もないフットボール場での光景/トゥーンバ
Text&Photo by Taka Uematsu
今回取り上げたトゥーンバ(Toowoomba)は、ブリスベンから内陸に車で1時間半ほど走った高地にある。かつては地方にある少し大き目の田舎町くらいのイメージだったが、このところグンと成長しているようだ。私の息子が所属するフットボールクラブが試合のために訪れた同地は、他にも見どころの多い街だが、今回はあえてこの写真を選んだ。
「QLD百景」というタイトルの当連載だが、景勝地の写真だけについて書けとの縛りがあるわけではなく、今回のようにQLD州の日常を切り取る1枚の写真から読者に何かを感じ取って頂き……え、ネタ切れ!? 何、言っているのか分からないなぁ(笑)。
そんなトゥーンバの見どころはまたの機会にお届けするとして、このグラウンドの何がユニークなのか。このグラウンドは、セスナ用飛行場であるトゥーンバ・シティ・エアロドーム空港の滑走路の至近にある。
ほぼ10分ごとにうなるようなエンジン音を響かせセスナが離陸していく。それこそ選手が思い切りボールを蹴り上げたら当たるのではないかってくらいの低空飛行の機体もある。そんな特殊な状況下でのフットボールに慣れない、遠くブリスベンから遠征してきたわが愚息のクラブは、飛行機攪乱作戦に集中力を欠き1―6と完敗。
ローカル・フットボールのシーズンが戻ってきた最初の週末。トゥーンバの秋空のような雲模様に時折り姿を見せるセスナの機影、そして、さまざまな出自を持つフットボーラーの姿。こんなQLD州の田舎町の週末の午後のちょっとした光景を切り取れるのも当コラムの良さだろう。
皆さん、ぜひお付き合いのほどを。