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オーストラリアで不動産を手に入れるための大切な情報について/オーストラリア不動産の現状

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長期にわたり豪州不動産販売のアドバイスやサポートを手掛けるGIM Capital Professional Pty Ltdが豪州不動産市場の動向や情報を分かりやすく解説。

 究極の住宅不足。オーストラリア不動産の賃貸の現状と購入に関する注意点について解説します。

切迫する賃貸市場と今後の影響

 1%を切るという空前の空室率を記録しているオーストラリア不動産の賃貸市場。コロナ禍下であっても人口は増えていたオーストラリアですが、2022年後半にこの空室率が急激に下落した主な要因として、同年3月からの国境開放による海外からの流入者増加が挙げられます。

 オーストラリアの最大都市であるシドニーの都心の場合、20分間ほどの賃貸物件の内覧会に約50人もの賃貸希望者が集まった事例がありました。大学や専門学校に就学するために、海外から来豪した留学生らがその住居を確保しようと、同様の内覧会はどこも常に混み合っている様相です。

 更に、コロナ禍からの経済復興を経て堅調ぶりが顕著な国内経済や、インフレーションによって、賃貸物件の家賃も上昇傾向が続いており、賃貸者にとってはうれしくないと言える状況です。

 そのような中、この悩ましい賃貸状況からの脱却のために、初めて不動産物件を購入しようとする希望者に対して、政府による選択的かつ新らたな補助制度が23年から本格的に始まっています。そのため、今こそ物件購入をと意気込んでいる人は多いと思われます。

 一方、賃貸物件を所有するオーナー側にとっては、空室なく賃貸家賃の値上げができ、投資としてはむしろ好ましい状況です。

 不動産を購入するということは大きな決断を伴いますが、自らの暮らしを守るための大切な資産となることを判断材料の1つとして考慮したいものです。

 そして、不動産を安全・安心して購入するためには、専門家の適切なアドバイスに沿って手続きを進めることが肝要です。今回はそれらの関連事項の一部を簡単に解説します。

増強された不動産購入者向けの政府補助制度

 23年1月から、不動産購買者に対する政府による補助制度が増強されています。

 「First Home Buyer Choice」「First Home Buyer Assistance Scheme」「Shared Equity Home Buyer Helper」と種類が増え、制度内には購入者向けのさまざまな選択肢が増えています。

 例えば、「First Home Buyer Choice」においては、初めての物件購入者(First Home Buyer)が物件を購入する場合、対象となる購入物件価格の上限が150万豪ドル(1.5ミリオン豪ドル)と現実的になり、物件購入後の印紙税を購入時に一括で支払うか、毎年の固定資産税(Property Tax)として支払うかの選択ができるようになっています(固定資産税で払う場合、印紙税は免除)。

 また、初めての物件購入者が65万豪ドルまでの物件を購入する場合も、これまでと同様に「First Home Buyer Assistance Scheme」によって印紙税は免除になります。

 その他、NSW州政府は新規不動産物件の購入価格の最大40%、建築済み物件の購入価格の最大30%を負担し、物件が売却されるまで、または購入者の共有資格がある限り、購入者と共にその割合に基づいて物件を共有するという制度「Shared Equity Home Buyer Helper」も導入しました。購入者はその間、政府のシェアに対する支払いなどは免除されます。

 なお、より多くの人が自分の持ち家を所有することを支援するこれら制度は、対象者が限定されている場合や特定の条件のみの場合もあるので、誤解なく賢く利用するためには法的ライセンスを有する弁護士に確認することが肝要となってきます。

 特に日本とは制度や用語が異なるので、理解に対して不安がある人は、日本語での翻訳・通訳の国家資格を保持する日本人弁護士などに依頼することも大切です。オーストラリアで不動産を購入をする際は、信頼できる弁護士に依頼し、署名をする前に、最低限、契約書の内容を理解しておきましょう。

 ただし、弁護士費用の請求が時間単価になるかなど、料金体系はあらかじめ確認しておくことをお勧めします。また、弁護士にはそれぞれ専門分野があり、不動産売買を専門としない、または詳しくない場合もありますので、適切な弁護士に依頼するようにしましょう。

コロナ禍下で変わった人びとの意識

 いずれにしても、人口の増加率と都市圏への集中傾向が著しいオーストラリアでは、コロナ禍という今までになかった生活危機を背景に、人びとはいかにして生き抜くか、どのように暮らすか、ということがたいへん重要であることを学んだのではないかと思われます。融資に関しても自宅購入者の割合が増えつつあるのは、こうした心理的な側面もあるのではと想像されます。

 しかし、オーストラリアの不動産を購入することが有利になるのはマイホーム・バイヤーだけではありません。次号からはその詳細も紹介していく予定です。

 また、コロナ禍の悪影響による経済不安を解消するために下げられた法定金利は徐々に元に戻りつつあり、その影響で不動産価格が下がることを予測する金融機関もありますので、今後、購入者にとって好機が来る可能性もあります。オーストラリアの法定金利の発表は毎月第1火曜日ですので、その情報もチェックしておいた方が良いですね。

 家族の笑顔を守る大切なわが家。賃貸者、投資家、マイホーム保持者のために、優良な住宅が供給されることを願って止みません。

 詳細は各専門家にお尋ねください。

鶴美枝

鶴美枝

グローバル・インテリジェンス・マネージメント代表。創業2010年以来、豪州各地の優良不動産を厳選し、豪州及び日本在住のホーム・オーナー若しくは投資家の方々の購入をサポートし資産増幅、理想の住まいの確保に日々尽力中。日本と豪州にて法学部大学院卒業。豪州不動産フルライセンス保持。

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