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曲水の宴/書家れんのつきいち年中行事 第172回

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 ご機嫌いかがですか、れんです。

 学問の神様である菅原道真公を祀る福岡県の太宰府天満宮では、毎年3月の第1日曜日に「曲水の宴」が開催されます。

 「曲水の宴」とは、まず水の流れのある庭園などで参加者がその流れに沿って着座します。上流から流されてくる盃(さかずき)が自分の所を通り過ぎる前に詩歌を詠み、その盃の酒を飲み、そしてまた次に流すという風流な宴です。

 古代中国で陰暦3月の最初の巳の日(上巳/じょうし)に行われていた水辺での禊(みそぎ)の際に宴席を設けたのが起源とされています。

 書聖と呼ばれた書の名人の王義之(おうぎし)が客を招いて曲宴を催した際に記したのが行書の名作「蘭亭序」。この書がすばらし過ぎて、以来現在に至るまでの1700年もの間、後世の人びとは未だにこれを行書の最高峰として手本にしています。

 残念ながら真筆は唐の太宗が自分の墓に持って行ったために現存せず、あるのは臨書本か拓本ですが、書道に携わる者でこれを知らぬ者はいないと言っても過言ではありません。

 さて、日本では485年旧暦3月2日に顕宗(けんぞう)天皇が宮廷の儀式としてこの宴を催したことが日本書紀に記されています。奈良・平安の時代には、桓武天皇崩御で一時中断はあったものの嵯峨天皇が復活させ、摂関時代には内裏の公式行事として関白藤原道長主催の曲宴が催されたと御堂関白日記にあります。

 現在、他には源平合戦で崩御した安徳天皇を祀った赤間神社(山口県)などでも3月上旬に開催されているようです。

このコラムの著者

れん(書家/アーティスト)

れん(書家/アーティスト)

アーティストとして永住権取得。作品“ふるさと”が国有財産として在豪日本国大使館蔵。豪・日・ドバイ・NZで作品展、大書ライブ、workshop多数。ハリウッド映画『The Wolverine』製作に参加。シドニー総領事表彰。元号“令和” (総領事館蔵)、日立豪 “協創”揮毫。豪五輪委員会で応援大書。書道教室。LINEスタンプ販売中。
Web: renclub.net / Email: renclub@gmail.com / 動画: youtube.com/user/renclub





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