ご機嫌いかがですか、れんです。
毎年5月15日に開催される京都・下鴨神社と上賀茂神社の葵祭は、9月の石清水祭(京都・石清水八幡宮)、3月の春日祭(奈良・春日大社)と並ぶ三勅祭として有名です。
勅祭とは天皇の使者(勅使)の派遣によって執行される神社の祭祀で、これら三勅祭は江戸時代以前の慣例による古い故実に則った装束をまとって行われます。
葵祭は平安時代以来、貴族の祭りとして国家的行事の役割を担って行われてきており、王朝風俗の伝統が残る数少ない祭りです。
日本に仏教が伝わったころ、欽明天皇在位中の567年、賀茂の神々の祟りによる不作を勅命による祭礼で収めたのがこの祭りの起源とされています。その後、819年には律令制度下で最も重要な恒例祭祀となったそうです。
源氏物語の『葵巻』にもこの祭りの場面が出てきます。祭りの行列に供奉する右大将・光源氏の姿をひと目見ようと大勢の人びとが集まります。光源氏の正妻である葵の上の一行が左大臣家の権力を笠に着て、他の牛車を無理矢理立ち退かせようとし、その際に源氏の愛人だった六条御息所の網代車を壊して恥をかかせてしまいます。この屈辱的な敗北が御息所を生霊にするきっかけになり、更に葵の上の死へと物語は展開していきます。
少々話が逸れましたが、1000年以上も前に書かれた物語にも登場する祭りを、今もこの目で見ることができるなんてつくづく感慨深いと思いませんか。この奇跡が1000年後にも続いていれば、どんなにすばらしいでしょうか。
このコラムの著者
れん(書家/アーティスト)
アーティストとして永住権取得。作品“ふるさと”が国有財産として在豪日本国大使館蔵。豪・日・ドバイ・NZで作品展、大書ライブ、workshop多数。ハリウッド映画『The Wolverine』製作に参加。シドニー総領事表彰。元号“令和” (総領事館蔵)、日立豪 “協創”揮毫。豪五輪委員会で応援大書。書道教室。LINEスタンプ販売中。
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