Text&Photo by Taka Uematsu
眺めの良い丘の上のコーヒー・バー
今回も、娘のフットボールの遠征で期せずして短期間に数回訪れたバダリム(Buderim)から。前々回の訪問時、娘を降ろしてキックオフまでのひと時をゆっくりと過ごそうと、筆者は街の目抜き通り(と言うほどに栄えてはいないが……)に軒を連ねるカフェの1つに入った。
土曜の昼下がりで店内は混雑しており、テイク・アウェーのスキニー・ラテを頼んだが、ふと、カウンター席が空いているのを見つけて腰掛けた刹那、地獄耳が日本語を拾った。
振り返ると、背中越しに2人の日本人女性がおしゃべりに夢中の様子。外国の雑踏で不意に日本語が聞こえたら不思議なくらいすっと耳に飛び込んでくるものだ。当然、筆者に彼女たちの会話を盗み聞こうなんて気はなく、ごく自然に耳が拾っただけ。
彼女らが見ず知らずとは言え、誰かの陰口を叩くのを聞くのは心地良いものではなかった。「テイク・アウェーにしといて良かった、そうではないと飲み終わるまでは嫌な話に付き合わされるところだったよ」と思いながら、飲みかけのカップを手にサッと席を立った。せっかくのほっとひと息のコーヒー・タイムが、何とも微妙な時間になってしまった。
と、内容とは全く関係のない写真だが、このエピソードの次の訪問時に入った屋外コーヒー・バーからの眺め。ここでは、幸い日本語のうわさ話は聞こえてこず、旨いコーヒーと景色を堪能できた。バダリム周辺にお住まいの日本人の御婦人方、どこに同胞の地獄耳があるか分かりませぬぞ、うわさ話はほどほどに。