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“Salute to John Olsen!”ージョン・オルセンに敬礼!/NSW州立美術館 ボランティアガイド便り

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執筆者=鴨粕弘美/ランゲージ・ガイド

Wynne Prize 2023 finalist, John Olsen ‘The lake recedes’, oil and acrylic on linen, 180 x 170 cm © Estate of John Olsen, image © Art Gallery of New South Wales, Jenni Carter

 今年4月に95歳で他界したジョン・オルセンの州追悼式典が5月、NSW州立美術館で営まれた。

 豪州の伝説的な風景画家であり、約70年の画歴の中で膨大な作品を残したオルセンは、「豪州のピカソ」とも称された。エネルギーに満ちた線と大胆な色彩で、描写表現と抽象の両方を融合させ、豪州の精神や特徴を独自の視点で表現、生きる喜びに満ちあふれながらも、瞑想的で深い思索が感じられる作品を生み出した。

 今年の「Wynne賞」では彼の最後の大作『The lake recedes(湖が引いていく)』が入選し、展示されている。同作品には、彼を魅了してやまなかった主題への回帰、豪州の風景が自身の芸術の中心であるという思いが窺(うかが)える。クモの巣のような線描と流れるような筆遣いで、SA州の湖が、穏やかで明るいピンクの大空にエネルギーを放ちながら枯渇していく様を捉えている。

 当館の南本館には、シドニー・ハーバーの詩にちなんで描いた代表作『Five bells (1963) 』、北新館には、スペインから帰国後すぐの60年に描いた『Spanish encounter』も展示。オルセンは「Archibald賞」「Wynne賞」(2回)、「Sulman賞」を受賞。大英帝国勲章、豪州勲章、NSW州の2大学から名誉博士号を授与された。オペラ・ハウスには建築家ヨーン・ウツソン依頼による壁画『Salute to Five bells (72-73) 』も残している。

●無料日本語ハイライト・ツアー
南本館:金11AM〜、北新館:日1PM〜

Art Gallery of NSW

Art Gallery of NSW

ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館。常設展入場無料。本連載は美術館の日本語ボランティア・ガイドが担当。「件名:Japanese Tour」でEメールによる日本語による問い合わせ可。
Web: www.artgallery.nsw.gov.au
Email: volunteerg@ag.nsw.gov.au





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